北島町新喜来の光蓮(こうれん)寺境内の一角に鎮座し、柔らかな表情を浮かべている地蔵菩薩(ぼさつ)。夢告げ地蔵と呼ばれ、1981年に町有形文化財に指定された。
台座とも一つの石から彫られており、高さは約100センチ。右足を組み、左足は立体感のあるハスの台座に踏み下ろしている。右手に錫杖(しゃくじょう)、左手に宝珠を持っている。制作年や作者は不明。
夢告げ地蔵という名には由来がある。かつてこの地蔵は、寺から300メートルも離れた旧吉野川の堤防近くにあった。ある年、豪雨による増水で堤防が決壊しそうになり、近くの若者の夢枕に立って自分が流されそうなことを知らせ、現在の場所に運ばせた-というもの。
喜んだ地蔵の霊力が堤防を守ったと評判になり、遠方からも大勢がお参りに訪れたという。吉野川の水害が、民衆の暮らしに強い影響を及ぼしていたことが分かる伝承だ。
北島町教委の原多賀子学芸員は「伝承とともに残っているところが面白い。今も地域を温かく見守り続けているのでしょう」と話している。【写真説明】若者の夢枕に立った言い伝えがある夢告げ地蔵=北島町新喜来の光蓮寺