吉野川に注ぐ川田川の源流近く、吉野川市美郷小竹。標高約700メートルの県有林内に母衣暮露(ぼろぼろ)滝はある。水量は少ないが、切り立った岩壁が迫る奥まった場所にあるせいか、荘厳な雰囲気が漂う。
「ぼろぼろ」という変わった名前には、こんな由来がある。昔、修行者が滝すそで一心不乱に祈っていると、白糸に後光が差した。修行者は着物がしぶきでぬれるのもかまわず、日の暮れるのも忘れてひたすら祈り続けたという。
祈願の滝として知られるようになったこの場所に、大正末期ごろ、高さ70センチほどの不動明王の石像が置かれた。修行者や檀家(だんか)に請われ、近くの真福寺が奥の院として安置したもので、岩屋にすっぽり収まり来訪者を迎えている。
棚上泰見住職は「不動明王は寺の本尊。昔の人たちは、滝を背景にした厳かな雰囲気の中、そのご利益をいただこうとしたのでしょう」と話す。
1977年に当時の美郷村から文化財(名勝)の指定を受けた、美郷の観光名所の一つ。紅葉狩りの穴場で、厳冬期には無数のつららが岩肌を覆い、訪れた人を氷の芸術で魅了する。【写真説明】祈願の滝として伝わる母衣暮露滝=吉野川市美郷小竹