石井町高川原の桜間神社にある高さ4・2メートル、周囲10・2メートルの巨大な石碑。刻まれた文には、かつて「桜間の池」と呼ばれる全国でも有名な景勝地が、この地にあったことを伝えている。1969(昭和44)年に県文化財に指定された。
文中には、鎌倉時代に編集された夫木(ふぼく)和歌集で桜間の池は「鏡のように美しい池」と詠まれている、とある。正式な記録はないが、池の面積は両端が見えないほど広大だったと伝えられている。しかしその後、吉野川から流れる土砂の堆積(たいせき)で江戸時代には小池ほどになった。
美しい湖のような池があったことを後世に伝えようと、1828年、徳島藩12代藩主・蜂須賀斉昌(なりまさ)が石碑建立を命じる。約6千人を動員し、海部郡東由岐(現・美波町)の海岸から約75トンの巨岩を運んだ。運搬から石碑完成までに、約7年かかったとされている。
桜間の池は現在、神社境内に150平方メートルほど残っているだけ。町文化協会事務局長を20年務めた足利久(ひさし)さん(81)は「県内にある碑の中でも群を抜いて大きいことから、桜間の池の壮大さに思いをはせられます」と話した。【写真説明】「桜間の池跡」に立つ石碑=石井町高川原