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「めっちゃ辛い!」「とにかく辛い!」「ものすんごい激辛です」。ブログに書き込まれたコメントは、さらに続く。「でも、うまい」「はまります」「ポカポカするから冬は病みつきです」
「みまから」に関する記述のあるブログをサイトで検索すると、いろいろ出てくる。辛さは尋常でないと想像をかき立てられる。「卵かけご飯に合う」「焼き物のピリ辛ソースに使える」など、お気に入りの使い方を紹介する人も。美馬市美馬町特産の薬味「みまから」はブロガーの間で、話題を振りまいている。
「みまから」の原料は町内で栽培された青唐辛子。輪切りにした唐辛子をしょうゆやかつお節、ごま油などで、いり煮する。市に合併する前、美馬町時代の町商工会などによる特産品開発の取り組みの中で誕生した。
中心となったのは商工会女性部。5年前、部員が候補を出し合い、最もインパクトがあるとの理由で、青唐辛子の薬味がユズのはちみつ漬け、梅みそドレッシング、はりはり漬けなどの他候補を抑えた。「みまから」と名付けられ、2007年から販売が始まった。
美馬特産品生産組合(逢坂満組合長)と「工房ロマン」(住友弘子代表)の町内2グループが加工を手掛ける。
生産組合は周辺11戸の農家と契約し、無農薬の青唐辛子を仕入れる。焼き肉のたれ、みそやチリメンと合わせた商品など9品目を販売する。県内外の量販店、道の駅、産直市など約50カ所で販売し、売り上げは07年500万円、08年1000万円と順調に伸びている。
10月2日、美馬町西荒川の組合加工場「みまから工房」に地元の美馬商業高校の3年生13人が体験活動に訪れた。「ほら、手を切りかけた。こうやって、にゃんこの手にしてな」。女子生徒の手元を、加工場の女性がひやひやしながら見つめる。試食タイムでは、辛さに悲鳴が上がった。
逢坂さん(60)=西荒川=は生徒たちに「県外に就職しても宣伝してくれよ」と声をかけた。「若い人が都会に行くのは仕方ないけど、地元にこんな特産品があるというのを知った上で行ってほしいと思って。高校生にいろいろ協力してもらっている」と話す。
商品のロゴは夏休みの宿題で美馬商の生徒が考えた。吉野川、三頭山、トンボをあしらった作品が採用された3年の元下清耶加(さやか)さん(17)は「美馬らしさ、田舎らしさを表現した。どんどん売れて、美馬の名が全国に知れ渡ったらいいなと思う」と期待する。
工房ロマンの住友さん(70)=中沼田=は開発当時、商工会女性部の一員だった。「私自身、病みつき。みそ汁にも入れな、物足らんのよ」と笑う。当時の女性部長、郡ヒデ子さん(67)=中通=も「開発に取り組んでいたときは、『いける』と思ったり、思えなんだり。皆で力を合わせて頑張った」と振り返る。2人は、今も商品やレシピの開発に知恵を絞る。
開発当時、町商工会の職員だった尾形芳夫さん(56)=現・美馬市商工会総務課長、脇町北庄=は「地域の農業、商業の振興に役立ち、生産、加工に携わる高齢者の生きがいづくりにもなると力を入れた」と話す。
今も商工会は側面支援を続けている。08年度から地産地消のメニュー開発に取り組み、「みまから」を練り込んだ菓子「みまからスティック」などのアイデアが生まれている。
「みまから」以外にも脇町特産のリンゴをコーヒーで煮詰めた「アップルコーヒー」「そば米リゾット」など、多彩なレシピがそろう。いずれ世に出す考え。「地域おこしや市民の健康づくりにつながるよう、広く美馬の味を提案したい」と尾形さん。辛党の心をつかみ、地域ブランドに育てたいと、関係者の夢は膨らむ。(編集委員・門田誠)【写真説明】「みまから」の加工を体験する美馬商高の生徒たち=美馬市美馬町西荒川