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小児科相談
鉄欠乏性貧血(1)   2017/10/12 15:40
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 徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 子どもの貧血は稀なものではありません。多くの貧血は鉄の不足によって発生する鉄欠乏性貧血ですが、中には出血性の疾患によるものや慢性の感染症によるものもあります。軽い貧血があってもあまり症状は見られません。今月はよく見られる病気、鉄欠乏性貧血について考えてみました。

 鉄が不足すると赤血球内の血色素が作られなくなりますから貧血になります。血色素は酸素運搬を担っていますから貧血になれば様々な組織が酸素不足になり、易疲労感、めまい、頭痛、息切れなどの症状が見られます。

 赤血球数が減少すると顔色不良や起立性低血圧、浮腫などが見られ、さらに心拍量増加によって動悸、多呼吸、頻脈、心雑音や微熱が見られます。また貧血では皮膚や粘膜が萎縮し、舌粘膜の萎縮によって味覚異常や異食症が出現し、さらに舌炎や口角炎、扁平爪、匙状爪などが現れると言われます。

 しかし貧血が徐々に進行した時や貧血の程度が軽い時にはこれらの症状全て現れる訳ではありません。重症の貧血では顔色不良から貧血の診断がつくこともありますが、中等度から軽度の貧血では顔色だけで貧血を疑うことも難しいものです。

 血色素を作る鉄は胎児期に母体から移行して貯蔵されます。この貯蔵鉄を利用して血色素が作られますから乳児期前半に鉄が不足することはありません。しかし早産児や低出生体重児では母体からの移行鉄が少なく早期から鉄の補充が必要となります。乳幼児期には成長が著しく鉄の必要量も増加します。食事に注意して鉄不足を予防することが大切です。