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小児科相談
病原性大腸菌(1)   2017/9/14 14:20
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 徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 食中毒は細菌やその毒素に汚染された食品を摂取した際に腹痛や下痢などの胃腸症状が出現するものです。最近はノロウィルスによる食中毒が多く報じられますが、細菌性の食中毒が減少した訳ではありません。今月は細菌性食中毒の代表的な疾患である病原性大腸菌感染症について考えてみました。

 食中毒を起こす代表的な病原細菌には病原性大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクター、ブドウ球菌などがあります。この中で最も問題になるのは病原性大腸菌です。

 大腸菌は人の腸管内に存在する常在菌で、その多くは病原性を持ちません。大腸菌は腸管内で消化吸収を助け、ビタミン合成に働き、他の病原菌の侵入を防ぐ役割を持ちます。

 しかし一部の大腸菌は病原性を持ち、下痢を主症状とする消化管感染症を起こします。その代表が腸管出血性大腸菌です。1996年にO-157病原性大腸菌による大規模な集団感染が発生しました。その後も小規模な集団感染が毎年3,000~4,000例報告されています。また2011年にドイツを中心にヨーロッパで発生したO-104病原性大腸菌は多くの溶血性尿毒症症候群を合併して大きな問題になりました。

 病原性大腸菌の感染は経口感染です。家畜、特に牛は病原性大腸菌の保菌率が高く、保菌牛の糞便によって汚染された食品や水が感染源になります。もちろん生肉や加熱不十分の牛肉は最も危険です。

 小児や高齢者は病原性大腸菌に対する抵抗力が弱く食中毒を発病しやすいので、汚染された食品の摂取には十分な注意が必要です。