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鉄路の行方 JR四国30年
JR四国30年  6  新幹線    2017/8/23 10:06
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JR四国30年  6  新幹線  高松まで19分、松山まで61分、高知まで59分。新幹線ができると、徳島駅からこれだけの短時間で各都市と結ばれる。
 
 四国経済連合会などが近年、四国新幹線の必要性を盛んに訴えている。きっかけは、四国4県や四経連などでつくる「四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会」が、2011年に発表した新幹線の導入を求める提言。JR四国が実質的にまとめた。
 
 当時、社長だった泉雅文会長は「以前は四国に新幹線はレベルが高過ぎるかと思っていたが、高速道路の延伸に太刀打ちできず、経営が悪化する中、懇談会を立ち上げた頃には新幹線しかないと思っていた」と振り返る。
 
 社内では、民営化当初から在来線の高速化が検討されていた。その結果、予讃線の伊予西条と松山の間をショートカットする短絡線を建設すると30分、高徳線で徳島・香川県境に新トンネルを掘ると10分の時間短縮がそれぞれ見込めることが分かった。しかし、予讃線の短絡線建設に掛かる費用は800億円。自己資金ではとても賄えず、補助金を使える制度もローカル線には見当たらなかった。
 
 一方で高速道路の整備が進み、鉄道の優位性が失われていった。JR四国の関係者によると、出発地から目的地の間をダイレクトに結ぶ「ドア・ツー・ドア」を可能にする車に、列車が時間的な利便性で対抗するには、高速道路を走る車の2~3倍の速度でなければならないという。その速度を出せるのは新幹線しかなかった。
 
 車輪の間隔を自由に変えることで、新幹線と在来線を相互に乗り入れできるフリーゲージトレイン(軌間可変電車)の実用化を目指した時期もあった。03年と11~13年の2度、予讃線で国土交通省などによる試験走行が行われたが、曲線の多い四国の路線では大きなスピードアップにつながらないことが分かり、断念した。
 
 新幹線の建設は費用の3分の2を国、残りを地方自治体が負担する公共事業だ。鉄道事業者は線路を貸してもらって運行する。JR四国は事業主体でないため、新幹線の実現を声高には訴えていないが、幹部の多くは新幹線に会社の将来を託し、待望している。
 
 ただ、実現へのハードルは高い。事業費が1兆円を超す大型プロジェクトとなるためだ。岡山から各県を結ぶルートの事業費は1兆5700億円に上る。1を超えると投資効果があるとされる費用便益比が1・03と試算されているものの、国・地方ともに財政が厳しい中、四国内の住民からも必要性に懐疑的な声が聞かれる。
 
 7月6日、新幹線を巡る新たな動きがあった。四経連や四国4県などが四国新幹線整備促進期成会を発足させた。設立総会と決起大会を開いたのは東京。国の基本計画に盛り込まれたまま据え置かれている四国新幹線の実現へ、アピールするのが目的だ。四国に新幹線が乗り入れる日は来るのか。息の長い取り組みがスタートした。
【写真説明】【上】四国新幹線の構想【下】試験走行を終え展示されているフリーゲージトレイン=西条市の「鉄道歴史パーク in SAIJO」



JR四国30年 5 徳島駅ビル