24日に開かれるとくしまマラソン2016で、徳島市津田本町5の市民ランナー吉藤尚さん(78)が、千回目のフルマラソン完走に挑む。成し遂げれば全国5人目、最高齢での達成となる。初完走から30年。ここ数年は加齢による体力低下や膝の故障と闘いながら走り続けてきた。吉藤さんは「思い入れのある地元の大会で成し遂げたい」と気迫をみなぎらせている。
吉藤さんは1986年3月に初完走して以来、47都道府県の大会に出場してきた。多いときには週2回参戦。とくしまマラソンも2008年の第1回から全て完走している。
「沿道の阿波踊りなど、おもてなしがすごい。30~40キロ地点で疲れが限界に達するが、声援を受けてもう少し頑張ろうという気になる」。12年2月に京都・木津川マラソンで900回目の完走を果たしてからは、とくしまマラソンで千回になるよう出場大会を調整してきた。
初完走から十数年は記録の更新にこだわった。自己ベストは1998年2月に出した3時間40分16秒。だがマラソン仲間が増えるにつれて、タイムよりも楽しく走ることを意識するようになった。県内外の友人約30人とは走り方から個人的な悩みまで相談し合っている。
妻の佐智子さん(78)は吉藤さんがベストの体調で臨めるよう、栄養に配慮した食事を作り続けてきた。「家族や仲間の支えがあってこそ、ここまでこられた」
10年前に走り過ぎが原因で左膝を痛めた。いったん回復したが、5年前に再発。年齢を重ねて疲れが抜けにくくなったこともあり、月300~400キロこなしていた練習量を、200キロ程度に減らした。
大会でもペースを落とし、6時間台後半から7時間台で走っている。生涯現役にこだわる吉藤さんは「高齢になってもやればできるということを同じシニア世代に伝える走りをしたい」と話している。