熊本地震で震度7をもたらした活断層のずれは、徳島県内でも起こる可能性が指摘されている。讃岐山脈の南べりを東西に走る中央構造線断層帯などがあり、今回の地震と同じメカニズムで発生すると考えられている。今後30年以内の発生確率は南海トラフ巨大地震より低いとされているが、ひとたび起これば大きな揺れが予想されることから、専門家は「油断は禁物だ」と警鐘を鳴らしている。

 県によると、県内の活断層は中央構造線断層帯をはじめ、吉野川南岸の上浦、西月ノ宮両断層、鮎喰川中流と穴吹川上流に鮎喰川断層系がある=図参照。

 政府の地震調査推進研究本部の長期予測では、鳴門市から三好市を通る中央構造線のずれによる地震が発生した場合、規模はマグニチュード(M)8クラスが想定される。今後30年以内の確率は0~0・3%とされている。

 今回の地震の震源となった日奈久(ひなぐ)断層帯の北端部では30年以内の発生確率は不明とされ、同断層帯の北側で接する布田川(ふたがわ)断層帯で0~0・9%だった。

 岡田篤正・京都大名誉教授(変動地形学)によると、活断層の地震発生確率をはじき出すためには地質調査で地形の変動を調べる必要があるが、M7未満の地震では地形の変化が小さく、過去に地震が起こっていても痕跡として残りづらいことから「科学的に確率を出すことは難しい」と言う。熊本地震の規模はM6・5だった。

 徳島大大学院理工学研究部の村田明広教授(構造地質学)は「熊本地震は規模の割に揺れが大きかった。地盤などの関係もあるのだろうが、震度7は驚きだ」と話す。

 2015年2月には、県南部を震源とする地震があり、牟岐町では震度5強を観測した。村田教授は「内陸型地震はいつどこで起こってもおかしくない」と、備えの重要性を訴えている。