中学生向けの伝承教室で、箱まわしを披露する福永さん(右から2人目)と中川さん(右端)=東みよし町昼間のふれアリーナみよし

 東みよし町の高校生7人が、「阿波木偶箱まわし保存会」(徳島市)に入り、伝承活動に取り組んでいる。中学時代に保存会のメンバーから指導を受けたのがきっかけで、人形浄瑠璃の魅力に目覚めた。生徒は「徳島の伝統芸能を盛り上げていきたい」と意欲を燃やしている。
 
 箱まわし保存会は、中内正子会長(50)が県内最後の継承者だった東みよし町の男性に弟子入りして「三番叟(さんばそう)まわし」などの芸を引き継いでいる。

 こうした経緯を受け保存会は、師匠の地元から継承者が現れてほしいと、4年前から三加茂、三好両中学校の生徒らを対象に毎夏6回ほど「伝承教室」を開催。20~30人が参加してきた。

 参加した3年生に保存会への入会を呼び掛けると昨年度は5人、本年度は2人が手を挙げた。7人はいずれも三好中出身で、現在は池田、脇町、城東の各高校に通っている。これまでに徳島市の阿波踊りや徳島城博物館の公演などで「三番叟まわし」を披露。12月にも公演を控えている。

 メンバーになった高校生は、地元の伝承教室にも参加し、中学生の指導役を務めている。教室終了後は中内さんらから1時間ほど特訓を受け、全部で4体ある人形の動きをマスターできるよう励んでいる。

 脇町高1年の福永大地さん(15)は「伝統を途絶えさせてはいけない。もっと技を磨いていきたい」と力を込める。

 保存会副会長の南公代さん(53)は「東みよし町では、100年以上前から三番叟を迎えてきた歴史がある。その地で育った若者が人形に愛情を持ち、メンバーに加わってくれたのがうれしい」と話している。