ご神体などを納めた唐櫃を社殿から運び出す氏子ら=那賀町古屋の御嶽神社

 約150年の歴史を持つ那賀町古屋の神社で、社殿を麓に移す「遷宮(せんぐう)」が行われた。人口減少や高齢化により、管理に当たる氏子が神社に通う負担が大きくなったためという。県神社庁によると、県内の神社では2015年度までの10年間に、他の神社の社殿にご神体を移して祭る「合祀(ごうし)」が神山町で2例あり、担当者は「過疎や高齢化の進行とともに遷宮や合祀は今後増えるのではないか」とみている。

 遷宮が行われたのは、標高約500メートルの御嶽山(おみたけさん)の山頂にある御嶽(おんたけ)神社。標高が約300メートル低く、人家からも近い春日神社の敷地内に社殿を移した。9日に「里宮遷宮祭」があり、藤本正樹宮司が祝詞を読み上げた後、ご神体などを納めた唐櫃(からびつ)を氏子らが約1時間かけて運んだ。

 御嶽神社は1868年、地元住民が長野県王滝村の御嶽神社から祭神を分祀して建てた。神社に続く山道は小学校の遠足やトレッキングのコースとしても親しまれている。

 しかし、車では途中までしか進めず、神社までは山道を20~30分かけて歩いて登らなければならない。参拝や清掃、さい銭箱の管理を行う氏子らの体力的な負担が大きくなっており、今後さらに氏子が減るとみられることから、地区の氏神である春日神社に移すことを決断した。

 御嶽神社の氏子は明治期には150戸ほどいたが、現在は14戸に減少。大半が60代以上となっている。氏子総代の古野司さん(55)=同町古屋=は「苦渋の決断だったが、これで今後もしっかりお祭りしていくことができる」と話している。