野生動物による貴重な植物の食害を防ごうと、吉野川市美郷穴地の「ほたるの里・花の山野草園」を経営する橘本文夫さん(72)=美郷下浦=が、廃材などを使って「鳴子」(写真上)と「ししおどし」(同下)を手作りした。今年8月に設置して以降、被害は出ておらず、お金を掛けない対策が効果を上げている。

 園には絶滅危惧種のクマガイソウやシコクカッコソウなど珍しい植物が約50種ある。橘本さんによると、10年ほど前からシカやイノシシ、サル、アナグマが出没し、新芽を食べたり、土を掘り返したりして食害が深刻化。フェンスで囲ったものの効果はなく、鳴り物で追い払うことにした。

 長さ約2メートルの竹を加工して手作りした「ししおどし」は遊歩道沿いに設置。わき水を利用し、満水になるまで竹が動かないよう磁石で固定しているほか、ラッパ形の筒を備えて音が広がるよう工夫している。 「鳴子」は一斗缶と竹で3個作り、運搬用のモーターで揺らして音を出す仕組み。人けのない夜間や未明に、タイマーで動かしているという。にぎやかな音にするため、鳴子に小さな金属球も複数付けた。

 園は、多くの植物が見頃を迎える毎年4月中旬から約20日間オープンし、期間中は約600人が訪れている。橘本さんは「動物を傷つけず、自然とうまく共存することが大事。今後も工夫を凝らして来園者をがっかりさせないよう努めたい」と話している。