源氏物語の「夕霧」に、秋を代表する花のリンドウが登場する一節がある。<枯れた草の中から、竜胆が悠長に出て咲いているのが寒そうで・・・>(与謝野晶子訳)。今と変わらない凜としたたたずまいに、いにしえの人々も心引かれたのだろう。色はさて、白か青か紫か。それと分かる表記はなく、想像が膨らむ

 敬老の日のきょう、おじいちゃんとおばあちゃんにリンドウを贈るなら、色はさて。ここは明白、紫なのだそうだ

 ちゃんと根拠がある。かの聖徳太子が豪族の序列を冠の色で定めた「冠位十二階」で、紫は最も高位とされた。人生の師に届けるに値する、最大級の尊敬の色なのである

 そもそも、敬老の日になぜリンドウなのか。これにも理由があって、根が漢方薬として重宝され縁起が良いから。漢方名は「竜胆」。源氏物語と違い「りゅうたん」と呼ぶ。尊敬と長寿の願いを両方届けられる花。だから紫のリンドウが選ばれる

 一連のうんちくは過日立ち寄った生花店で、手作り広告に教わった。贈る人の深い思いが染み込んだ、花一つ。元気に長生きする励みとしてほしい

 笑いが健康の秘訣とは、専門家も認めるところ。こんな一句はどうだろう。全国有料老人ホーム協会選の「シルバー川柳」から。<「インスタバエ」新種の蠅かと孫に問い>滋賀県・83歳の無職男性。