西日本におけるタンポポの分布などを調べた「タンポポ調査・西日本2015」で、徳島県は在来種の割合が全体の6割近くを占め、調査した19府県の中で一番高いことが分かった。在来種の多さは自然環境の良さを示す指標とされ、調査に携わった県立博物館は「徳島の素晴らしい環境の証明になった」としている。
調査は、公益社団法人・大阪自然環境保全協会(大阪市)が中心となり、2014、15年の3~5月に19府県で実施した。市民ら8132人が、種類や生育場所を記した調査票など6万8319件の有効サンプルを寄せ、専門家が分析した。
県内では626人が7366件の有効サンプルを集めた。そのうち在来種だったのは5154件。人口の偏りなどを加味する特殊な計算を行うと全体の57・9%を占め、西日本全体の平均39・4%を大きく上回った。在来種は、日当たりの良い開けた場所や手入れされた里山などに生えることが多く、在来種の割合が大きいほど自然環境が良いといえる。
一方、5年前の前回調査に比べ、都市化された場所に生えることが多い外来種の割合も増えた。09~10年の前回調査で外来種の割合は30・0%だったが、今回は42・1%に。外来種の花粉が在来種に付着すると、在来種の種が実らない場合があり、在来種の減少につながる。1回の調査だけでは判断できないが、注意する必要があるという。
県内調査の事務局を務めた県立博物館の小川誠上席学芸員は「タンポポは人間を取り巻く環境の豊かさを示してくれるので、ぜひ注目して見てほしい」と話している。同館では5月29日まで、今回の調査結果やタンポポの標本を展示した企画展を開いている。