大蔵省からニッセイ基礎研究所の主任研究員などを経て、駒沢大経営学部で現代企業論などを教えている。

 研究の対象は、ニッセイ基礎研究所時代に興味を引かれた企業活動。中でも、フランチャイズ(FC)の在り方を長く調査分析してきた。

 「資金のない企業が店舗を展開しようとしても、金融機関から融資を受けられず、店長になる人材もいない。そんな場合にFCが有力な手法になる」と話す。

 資金と人材を投入するFCのオーナーは利益を出そうとして懸命の事業活動を行い、企業の多店舗展開を支える。

 FCの形態は19世紀半ばに米国でミシンメーカーが先駆けとなり、1950年代からファストフードのFCが、世界に広がった。

 今ではファストフードやコンビニ、外食チェーンなどFCが席巻。進学で古里を離れた40年余り前に比べ、徳島市も格段にFCが増えた。

 「消費者にとっては、安くて魅力的な商品に出合えるメリットはあるが、同業の地元資本には脅威になる」

 その言葉通り、にぎやかだった徳島市などの中心商店街には空き店舗が目立ち、少子高齢化の影響から、県人口は減り続けている。

 「徳島」というと思い浮かぶのは、幼少期を過ごした海陽町の豊かな自然だ。スマホには、帰省した際に自分で撮った大里松原海岸の写真を収めており時折、眺める。「神山町にIT企業のサテライトオフィスが進出したニュースなど、”徳島“と聞くと、すぐに反応する。遠くから徳島を応援している」と話す。

 大都市圏との人材獲得競争でも厳しい環境にある徳島に必要なのは、若者が人生を託せる魅力的な企業。「伸びる会社は、自由な発想で、若い人が創造的アイデアを生み出す。徳島からも従来にない発想の会社が生まれてほしい」と力を込めた。

 こもと・けいしょう 海南町(現海陽町)出身。城南高、東京大経済学部卒。慶応義塾大大学院商学研究科単位取得退学。1982年、大蔵省入省。日本生命保険、ニッセイ基礎研究所、静岡文化芸術大学教授を経て、現職。著書(共編著)に「すらすら図解M&Aのしくみ」(中央経済社)など。千葉県市川市在住。59歳。