徳島県松茂町が、体験型観光を核にした町づくりに乗り出す。2020年度をめどに、同町広島の運動公園周辺に交流拠点施設を整備し、国内外から訪れた観光客らに町の魅力をアピールする。
交流拠点施設は、運動公園や図書館、地域子育て支援センターなどが集まるエリアに整備し、体験型観光事業を手掛けるマネジメント組織を設ける。
町が4月に新設したチャレンジ課を調整役に、町内の農家や民生委員ら38人による「まちづくり会議」が、観光メニューや交流拠点施設の運用方法について議論している。全体的な観光プランは、コンサルタント業務を委託する県内の旅行会社とまとめる。
具体例としては、農家と一緒にサツマイモを収穫し、素材を生かした郷土料理を楽しんだり、漁船に乗って取れたての新鮮な魚を味わったりできる観光メニューを検討しているという。
町は、自衛隊の基地交付金などで県内トップクラスの財政力を維持しているものの、14年以降は人口減が続いており、1次産業従事者の高齢化も進行している。市街化調整区域や航空法に基づく高さ制限といったハードルがあり、企業誘致による税収増は難しい。
そうした中、体験型観光をテーマとした地域振興策に活路を見いだすことになった。県内の交通の要衝という特性を生かし、県外から訪れた人が地域の魅力を感じられる観光プランを提供する。
交流拠点施設には、調理スペースやカフェ機能を備え、地域住民が6次産業を手掛ける場としても活用できるようにする。
吉田直人町長は「地域の協力を得て町に人を呼び込みたい」と話している。