全国の温泉地をキャラクター化して多メディア展開し、アニメファンの若者や外国人の観光客呼び込みを図る地方活性化プロジェクト「温泉むすめ」で、現在108人いる温泉むすめの中から人気1位を決める「第1回総選挙」のグループ未所属部門1位に、徳島県三好市池田町の祖谷温泉の「祖谷メグリ」が選ばれた。秘境をテーマにしたキャラクターデザインや声の魅力が評価された。祖谷温泉では、メグリ人気を大歩危・祖谷地方全体の集客に生かそうと活用策を模索している。
温泉むすめは、KADOKAWA出身の橋本竜社長が、エンターテインメントをインバウンド(訪日外国人客)獲得に活用しようと2016年に立ち上げた企画・製作会社「エンバウンド」が手掛けるプロジェクト。
福島県出身の橋本社長は、東日本大震災で減少した福島を含む東北の観光客を呼び戻す方策を探る中で、各地の観光資源である温泉とアニメを融合させてアニメと声優のファンや日本文化に関心が高い外国人の集客を図ることを計画した。
108人のキャラクターは、同社が各都道府県の代表的な温泉地の中から選び、1人1人を異なる人気イラストレーターが各地の特徴を取り入れてデザイン。各キャラクターの声は、それぞれ異なる将来有望な若手声優が担当している。
祖谷温泉の祖谷メグリは、yaman**さんがデザインを手掛け、秘境・祖谷らしく探検家風の行動的な性格がうかがえる容姿と衣装になっている。声優は、アニメ「はじめてのギャル」の八女ゆかな役などで知られる長久友紀(ながく・ゆき)さんが務める。
温泉むすめの基本設定は、各温泉地に宿る下級の神である温泉むすめが、温泉をPRするためアイドルユニットを結成し、グループで競って頂点を目指すというもの。主要キャラクター28人は5組のユニットに分かれ、その他の80人は無所属となっている。メグリも無所属の一人だ。
既にライトノベルやスマートフォン向けゲームがリリースされているほか、9~11月にはユニットごとの楽曲発売も決まっている。各地に声優が出向いて開いたミニライブやトークイベントは、最大2000人以上を集める人気ぶりだ。
温泉地サイドにもこの人気を積極的に活用する動きがある。兵庫県の有馬温泉では、温泉むすめとコラボした宿泊プランを提供した旅館で50組以上の利用があり、名物の炭酸せんべいの包装に起用した商品は1000個以上を売り上げた。
総選挙は7月13日~8月13日にツイッター上で、グループ所属部門と未所属部門に分けて実施された。メグリは、長久さんがラジオで投票を呼び掛ける熱心な〝選挙運動〟を展開したことなどもあり、未所属80人の頂点に輝いた。
両部門の上位3人にはソロ曲が与えられ、シークレットライブが開催されることが決まっている。1位に選ばれたことを受け、メグリ(長久さん)は「皆さま、たくさんの応援投票や応援コメント、本当にありがとうございました! ソロ曲やシークレットライブでは、感謝の思いを込めて全力でパフォーマンスさせていただきますね♪ これからも温泉むすめと祖谷メグリをよろしくお願いします! チョイナー!!!」と喜びのコメントを発表している。
無所属部門の2位は長崎県の雲仙伊乃里(声・奥野香耶さん)、3位は石川県の山代八咫(星希成奏さん)。グループ所属部門の1位は熊本県の黒川姫楽(田中美海さん)、2位は群馬県の伊香保葉凪(茜屋日海夏さん)、3位は兵庫県の有馬楓花(桑原由気さん)だった。
選挙結果について、メグリの〝地元〟祖谷温泉の植田佳宏社長は「温泉むすめの存在は知らなかったが、1位に選んでいただいたのは大変ありがたい」と感謝を述べた上で「メグリを祖谷温泉を含む大歩危祖谷温泉郷全体の集客に生かすために取り組めることがないか、(三好市の温泉ホテル5社などでつくる)大歩危・祖谷いってみる会で検討したい」としている。
エンバウンドの橋本社長は「温泉地サイドでキャラクターを利用してくれるケースが徐々に増え、アニメファンの間では温泉むすめの地元温泉を訪れる〝聖地巡礼〟が広がるなど認知度が高まってきた。今後も各温泉地と連携してプロジェクトを積極展開し、2020年東京オリンピック以降も地方活性化に貢献できるコンテンツに育てて行きたい」と意気込んでいる。
温泉むすめ公式サイト https://onsen-musume.jp/
9月30日に四国の温泉むすめ6人が集結するトーク&ミニライブイベント「SPECIAL YUKEMURI FESTA in 松山(道後)」が松山市の松山サロンキティで開かれる。
2部制で、開演は正午と午後3時。出演はメグリ(長久さん)のほか、道後泉海(篠田みなみさん)、あしずり星(大空直美さん)、鈍川まなみ(小原莉子さん)、塩江修子(田辺留依さん)。
チケットは前売り6480円(ドリンク代500円別)で、各プレイガイドで販売中。29日午後には道後温泉付近で観覧自由のミニイベント開催予定となっている。詳細は特設ページ https://onsen-musume.jp/event/3916