徳島県が18日発表した基準地価調査(7月1日時点)によると、県内基準地の平均地価は20年連続で下落した。下落率は1・1%と前年から0・2ポイント縮小し、7年連続で改善。徳島市が前年比で26年ぶりにプラスに転じたほか、県内全体で地価が上昇した地点は前年より3地点多い19地点になった。景気の緩やかな回復基調やこれまでの下落で割安感が出ていることに加え、低金利、優遇税制などで土地需要が上向いていることが背景にある。
基準地は住宅地123、宅地見込み地1、商業地47、工業地8、林地6の計185地点。このうち、住宅地の2地点は前年の調査地点から変更された。
県全体の用途別では、前年との比較を示す平均変動率は住宅地マイナス1・0%、商業地マイナス1・6%。下落率はともに0・2ポイント縮小した。
市町村別で平均変動率がプラスだったのは、徳島市(上昇率0・1%)、北島町、藍住町(以上0・4%)の1市2町。景気回復などで徳島市は中心部だけではなく郊外にも地価の下げ止まり傾向が広がっている。17年4月に大型商業施設イオンモール徳島が開業した影響は小さいとみられる。
21市町村は平均変動率がマイナスだったが、そのうち17市町は下落率が縮小した。美馬市は前年の下落率3・0%から0・9ポイント改善。これまでの下落で地価の割高感が薄まってきている。
一方、下落率が最も大きかったのは牟岐町で3・4%。次いで美波町と海陽町がともに2・7%で、南海トラフ巨大地震の津波被害が懸念される県南部の下落が目立った。前年より下落率が拡大したのは松茂町。上板、那賀、佐那河内3町村の下落率は前年並みだった。
基準地別でみると、地価が上昇した19地点の内訳は徳島市8、鳴門市3、北島町3、石井町2、藍住町2、阿南市1。横ばいは徳島市20、阿南市3、鳴門市2などの計30地点で前年より3地点増えた。
住宅地で最も下落率が大きい地点は、前年と同じ海陽町浅川の4・6%で、上位3位までを同町が占めた。上昇率トップは徳島市中前川町5の2・0%。戸建てと共同住宅が混在し、学校施設が充実するなど人気の地域で需要が回復している。
商業地は牟岐町中村の下落率が最も大きく3・8%。町内の中心的な商業地域だが、商圏が町内に限られることが影響している。上昇率の最高は徳島駅前の徳島市一番町3の0・5%で、複合施設型ホテルの開業や既存ホテルの増築などで飲食や宿泊などの客足が伸び、地価が上昇している。
県全体の1平方メートル当たりの平均価格は住宅地2万9800円(前年2万9900円)、商業地5万9800円(6万200円)。基準地で1平方メートル当たりの地価が最も高かったのは、住宅地が13年連続で徳島市新蔵町2の13万6千円。商業地は14年連続で徳島市一番町3の37万5千円だった。
不動産鑑定士で県地価調査検討会の富永守代表幹事は「地価はピーク時の半値以下と低い水準になって値頃感が出ている。住宅ローン金利が低い上、税制面でも優遇され、土地を取得しやすい状況になっている」と分析している。