360度撮影できるカメラで避難場所までの道のりを撮影する学生=美波町

360度撮影できるカメラで避難場所までの道のりを撮影する学生=美波町

 徳島文理大の学生が美波町の日和佐地区で、全方位を見ることのできる動画を用いた津波避難マップづくりを進めている。出来上がるとインターネットを通して避難場所や周辺道路を立体的に見ることができ、高齢者や要介護者の避難経路を考える際に役立つ。完成後、住民の声を踏まえて修正しながら県内沿岸全域に広げたい考えだ。

 対象は、日和佐地区の津波避難場所に指定されている高台など約50カ所。同地区が▽津波の影響を大きく受ける▽高齢化率が高い▽観光客が多い-ことなどを理由に選んだ。理学療法学科の柳澤幸夫准教授を中心に、同科とメディアデザイン学科の学生10人が昨年11月から360度撮影可能なカメラを持ち、主要道路から各避難場所までの道のりを実際に歩いて撮影した。

 避難場所に指定されているにもかかわらず道が草木で覆われて歩けない場所もあり、学生は撮影の傍ら、鎌で草木を刈るなどの整備も行っている。

 動画は再生中に自由に角度を変えられ、周囲の状況や足場の良しあしなどを確認することができる。完成後、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開し、スマートフォンやタブレット端末から動画に直接アクセスできるQRコードを掲載したマップも制作する。

 1月14日に美波町の日和佐公民館で住民や医療福祉関係者の体験会を開く。住民の意見を聞いて修正しながら、他の沿岸自治体でのマップづくりも進める。

 柳澤准教授は「現場にいるような臨場感があり、地図では分からない部分も立体的に理解できる。事前に避難場所の情報を把握し、個別避難計画をつくる手助けにしてほしい」と話している。