美馬市の牧田久市長(74)が、運転する車で死亡事故を起こしたことを受け、徳島新聞社が牧田市長を除く県内7市長に私用時の運転状況を聞いたところ、5人が「運転している」と回答した。いずれも公共交通機関の少なさなどを理由に、事故を受けて対応を変えることはないとしている。
運転していると答えたのは鳴門、阿南、小松島、吉野川、阿波の5市長。休日などに私用で出向く際にハンドルを握っている。さらに岩浅嘉仁阿南市長と野崎國勝阿波市長は通勤時に加えて土日祝日の公務でも運転することがあるという。
浜田保徳小松島市長は基本的に控えるようにしているが、月に数回運転する。「いつも家族がそばにいるとは限らず、わずかな移動に公用車を呼ぶのもどうか」と話す。
対応を変えない理由については「公共交通機関がなく、時間的にも融通が利く」(泉理彦鳴門市長)「バスや鉄道も利用するが、車での移動が便利」(川真田哲哉吉野川市長)などの声がある。
一方、できる範囲で対策を心掛けている実態もうかがえる。野崎市長は「県外に移動する際には公共交通機関を利用している」、泉市長は「同乗者がいれば運転を任せている」とした。
就任間もない遠藤彰良徳島市長は事故のリスクを考えてタクシーなどの利用を徹底している。黒川征一三好市長も家族に任せて自ら運転はしていないという。
7市長の平均年齢は63歳。地方自治に詳しい鳴門教育大大学院の山本準教授(社会学)は「私用での運転はやむを得ないが、高齢になるにつれ、事故の加害者だけでなく被害者にもなりうる可能性が高まるだけに、慎重な運転を心掛けることが公人としての責任だろう」と話している。