徳島市出身の作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんが15日、京都市の寂庵で法話の会を開いた。この日は94歳の誕生日で「長く生きていると、なぜ生きるのか、生きるとは何かと考える。私の結論は、愛するために生きるということ」と話した。
約160人が参加した。誕生日を祝う声に笑顔で応えた寂聴さんは、刊行されたばかりの掌編小説集「求愛」(集英社)に触れ、テーマは愛だとして「家族や恋人、動物であろうと何かを愛すれば同時に心配事が増え、苦しみを味わう。その苦しみも含めて人生。負けないで生きてね」と呼び掛けた。
虐待や性暴力で苦しむ女性を支援する全国ネットワーク「若草プロジェクト」の呼び掛け人代表にも就いた寂聴さん。「残りの人生がどれだけかは分からないけれど、苦しんでいる人が楽になる手伝いをしなければならないと思っているの」と決意を語った。