自民党総裁選で安倍晋三首相が連続3選を果たした20日、徳島県民からは、拙速な改憲論議を懸念する声や、森友、加計(かけ)学園問題の疑念払拭(ふっしょく)に向けた誠実な説明を求める声が相次いだ。地方の景気回復を望む一方で、来年秋の消費税率引き上げに反対する意見も上がった。石破茂元幹事長の得票が安倍氏を上回った県内の党員は、人口減少対策など地方重視の政策推進に期待を寄せた。

 三好市池田町白地の福祉施設職員高椋(たかむく)龍一さん(59)は、9条改憲への慎重な対応を求めた。自衛隊の明文化は他国の反発を招く恐れがあるとし、「政治家だけでなく幅広い国民の合意形成を図るとともに、周辺国の理解を深める必要がある」と指摘した。

 森友、加計学園問題への説明責任と疑惑解明を望むのは、徳島文理大3年の秋山想一郎さん(21)。「誰もが納得できる丁寧な説明を重ね、一日も早く国民の信頼を取り戻すべきだ」と力を込めた。

 地方の景気回復も大きな関心事で、鳴門市撫養町南浜の文具店経営赤澤活代さん(69)は「景気は良くないが、アベノミクスの波及効果を辛抱して待ちたい」と話した。

 阿南市宝田町川原の計盛光子さん(78)は消費税率引き上げを批判し、「1人暮らしの年金生活者にはこたえる。税率の据え置きや減税がいい」。

 「衰退が進む地域の農業を守ってほしい」と切実な声を上げたのは、阿波市吉野町柿原で特産の「柿島レタス」を栽培する今倉秀明さん(61)。生産者の高齢化と後継者不足を課題に挙げ、「価格下落時の補助金支給などの就農支援策が必要だ」と訴えた。

 1歳半の娘がいる徳島市住吉1の会社員渡守莉菜さん(26)は、子育てと仕事の両立に不安を抱く。「医療費無料の対象年齢引き上げや児童手当の増額、待機児童の解消など育児に希望を持てる施策を望む。働く女性を支援する制度も拡充してほしい」と語った。