徳島市が市立木工会館(同市福島1)を廃止する方針を撤回したことが20日、分かった。同市国府町の徳島南環状道路沿いで計画していた道の駅事業の休止を決め、同館の機能を移転する場所がなくなったため。同館は築36年がたっており、市は改修工事などを行うかどうか検討している。
市によると、市立木工会館の現在の建物を継続使用するか、耐震改修するか、建て替えるかなどを検討している。
市地場産業振興協会の指定管理期間は2019年度末までで「指定管理を更新する場合は来年度途中に選考を始める必要がある。木工業者らの意見を聞きながら、来年の早い時期に対応方針を決めたい」(経済政策課)としている。
同館は旧耐震基準で建てられており、市が10年度に行った耐震診断で、地震による倒壊の危険性が指摘された。市は13年、管理運営する同協会に廃止を検討する考えを示し、その後、道の駅に計画する「産業振興ギャラリー」に機能を移転する案を提示した。
木工や仏壇の業界団体は、木工業が盛んだった福島地区での存続を希望し、移転に反対していた。同協会の上杉和夫理事長は「現在より小さな施設でいいので、建て替えを求めたい」と話している。
徳島市立木工会館 木工など地場産業の振興を目的に、1982年3月に開館した。鉄筋コンクリート4階建て延べ約3147平方メートルで、作品の展示場所や多目的ホール、会議室を備える。2017年度は県内290の業者や個人が商品を出品。企画展も103回開かれ、延べ約3万5千人が来場した。