広島大で声楽を学んでいた阿南市職員土肥季邦(としくに)さん(32)が、市内で開かれる野球大会の開会式で国歌独唱の役割を担うようになった。「野球のまち」を掲げる市での試合を盛り上げようと、声量たっぷりの歌声を球場に響かせている。
土肥さんは広島大教育学部で声楽を専攻し、広島市民合唱団のオペラに出演したこともある。今年4月に阿南市職員として採用される前は、県内外の小中学校で音楽の臨時教師を務めていた。
市の野球大会ではこれまで開会式の国旗掲揚の際に選手や観客が国歌斉唱していた。土肥さんの経歴を知った市野球のまち推進事業の担当職員が「歌の専門知識があるなら、ぜひとも歌ってほしい」と声を掛けた。
8月にJAアグリあなんスタジアム(同市桑野町)であった「野球のまち阿南長時間大会」で、初めてグラウンドに立った土肥さんは、約100人を前に伸びのある歌声を披露した。出場した新野倶楽部の仲道一秀さん(49)=同市新野町片山、会社員=は「歌い方が本格的。気が引き締まった」と話した。
土肥さんは、10月21日に開幕する「県500歳野球大会」など主要事業に出演する予定。「球場で風を感じながら歌うのは気持ちいい。野球のまちのPRに加え、歌の魅力も伝えたい」と張り切っている。