ゼロ・ウェイストの活動を紹介する英語版の動画を見る坂野理事長=上勝町福原

ゼロ・ウェイストの活動を紹介する英語版の動画を見る坂野理事長=上勝町福原

 ごみ排出ゼロを目指す上勝町の「ゼロ・ウェイスト」の取り組みを紹介する英語版動画が、インターネットの動画投稿サイト・ユーチューブにアップされ、海外から注目が集まっている。視聴回数は40万回に迫る勢い。NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー(同町)には、動画を視聴した海外のメディア、大学からの取材や講演依頼が続々と寄せられている。

 動画は5分6秒の作品で、米国のオンラインメディア「ディスカバリー・デジタル」が、「世界でおそらく最も厳しいリサイクルプログラム」を紹介するため制作。委託を受けたテンプル大日本校(東京)のアイリーン・ヘレーラ教授が来町し、撮影した。34種類のごみ分別を進めていることや、家庭で出た生ごみの堆肥化などの取り組みを、英語ナレーションと字幕付きで紹介している。

 アカデミーの坂野晶(あきら)理事長(27)=福原=は、英語でインタビューに応じ「34分別は本当に大変で、町内の人の理解を得るのが難しかった」と苦労話を紹介。住民の1人は「最初は大変だったけれど今は自然に取り組める」と語っている。昨年12月8日の公開から約5カ月で、視聴回数は39万6707回(16日午後9時時点)に達した。

 動画を見た海外のメディアや環境団体から、坂野さんのフェイスブックなどを介して取材、視察の依頼が殺到。これまでに約10カ国・地域から問い合わせがあり、米国や台湾、デンマークのラジオ局、ニュース配信会社などが実際に町を訪れ、取材に応じた坂野さんが”上勝発“のごみゼロの挑戦をアピールしている。

 インドネシア大の日本研究センターからは「廃棄物のより良いマネジメント」に関するセミナーへの参加依頼も寄せられ、坂野さんは17日に現地で講演する。10月には、マレーシアで開く国際会議「スマートシティ・アジア」にも招かれている。

 坂野さんは「海外でも、ごみを減らす取り組みに関心を持つ人が増えているのでは。国外からの意見に触れられ、交流の機会が増えてうれしい」と話している。