イベントで子どもたちと触れ合いを深めるすだちくん=徳島市八万町向寺山の徳島県立図書館

 徳島県のマスコットキャラクター「すだちくん」が、1993年9、10両月にあった東四国国体でデビューしてから25周年を迎えた。ゆるキャラブームに先駆けて誕生し、県内外の各種イベントで活躍。県民に愛され続け、全国にも知られるようになった。”25歳“となったすだちくんは、これからも笑顔を振りまき、徳島県のPRのために飛び回る。

 すだちくんは8月19日、県立図書館に姿を見せていた。今年の「ゆるキャラグランプリ」に出場している県内ゆるキャラへの投票を呼び掛けるイベントに参加。常に子どもたちに囲まれ、人気は健在だ。

 誕生のきっかけは、東四国国体を3年後に控えた90年にさかのぼる。県国体局が国体マスコットキャラクターを公募し、1574点が届いた。職員が予備審査で100点ほどを不合格にした後、大学教授やプロデザイナーら5人でつくる広報委員会が候補3作品を選ぶ予定になっていた。

 ところが、審査委員は一通り見終わった後、不合格の作品も見てみたいと要望し、その中に「すだちくん」の原案があった。当時小学5年の下内(旧姓・溝渕)幸子さん(39)=徳島市南沖洲3、看護師=の作品だった。

 委員の一人だったグラフィックデザイナーの宮本光夫さん(74)=徳島市昭和町6=は「かわいらしさに親しみやすさ、笑顔のすがすがしさが際立っていた。描きたいものを描くという純粋さがにじみ、飾らない感じが印象的だった」と振り返る。

 満場一致で採用が決まり、宮本さんが原案を基にアレンジを加え、現在のすだちくんが出来上がった。

 デビューした国体開催までの約3年間、すだちくんを活用したPRイベントやキャンペーンが続々と催され、地域に根付き、県民の記憶に刻まれた。

 国体終了後に廃れていくキャラが多い中、愛され続ける要因について、宮本さんは「当時は県民の間に共催相手の香川県への競争心もあった。すだちくんで盛り上げようと一致団結した思いがあり、親しみが強く残ったからでは」と分析する。

 全国への知名度を高めたのが、「ゆるキャラ」という言葉を生み出したイラストレーターみうらじゅんさんが2002年に主催したコンテスト。現在のゆるキャラグランプリに先駆けて行われ、人気投票で参加25体中3位に輝いた。

 03年ねんりんピック徳島大会や07年国民文化祭でもマスコットキャラクターの大役を務め、ゆるキャラグランプリでは13年に最高12位を記録した。

 同年からはデザイン使用の無料化を営利目的にも広げ、着ぐるみの無料貸し出しを始めた。公式ホームページが開設され、テーマソングやダンスも考案された。タキシードや法被、サンタクロースなどさまざまな衣装のコスプレ姿を披露し、ニューヨークや香港、ハワイなど国外にも飛び出している。

 すだちくんは「いつも応援してくれてありがとうですだち。これからもがんばっていくじょ!」と話している。