選挙権年齢が18歳以上に引き下げられることに関連し、徳島県内の公立高校と特別支援学校全53校(定時制や通信制も1校として集計)が、生徒の校外での政治活動を事前届け出制としないことが18日、県教委の調査で分かった。県教委が3月に行った調査では15校が届け出制の導入を検討していたが、愛媛県が届け出を義務化したことに批判が集まったことなどを踏まえ、方針を転換した。

 今回の調査は4月下旬から5月中旬にかけて行われ、全校が「校外での政治活動の把握は考えていない」と回答した。

 3月時点で届け出制を検討していた15校のうち、三好高の井上裕明校長は、生徒が違法行為などに巻き込まれる可能性を想定して事前に行動を把握することに一定の意義はあると強調。ただ「表現の自由の制約にならないか、個人情報の把握がどこまで許されるかなど課題が多い。愛媛県での議論も考慮した」と、導入を見送った経緯を明かした。

 愛媛県では県立高全59校で届け出を義務化しているが、生徒の政治活動や思想信条の自由が制限されるとの批判が出ている。

 三好高のほか、少なくとも7校が徳島新聞の取材に、愛媛県の義務化への批判を「判断材料にした」と答えた。県教委学校教育課も「愛媛の状況などを受け各校が独自に見送りを決めたのだろう」としている。

 県教委は、政治活動を届け出制とするかどうかは各校の判断に任せるとの方針を示している。