大地の性質や成り立ちに関心を持ってもらおうと、日本地質学会(東京)は、全国47都道府県で特徴的な岩石・鉱物・化石をそれぞれの「県の石」(都道府県の石)として選んだ。徳島県は岩石が「青色(せいしょく)片岩」、鉱物が「紅(こう)れん石」、化石が「三角貝」。各都道府県ではシンボルとなる花や木などは既に選定されているが、石は初めて。
石の選定は、2018年に設立125周年を迎える同学会の記念事業として企画。学会の各地域支部から候補の提案を受け、学会内に設けた選定委員会が2年がかりで選んだ。
徳島大大学院の青矢睦月准教授(地質学)によると、青色片岩は濃い青色が特徴の石。眉山(徳島市)や高越山(吉野川市)でまとまった量が産出し、それらの地域で石垣に使われているほか、弥生時代には石包丁や石おのに活用された。
紅れん石は濃い紅色や桃色をした長柱状の結晶で、眉山を訪れた明治時代の地質学者が世界で初めて発見したとされている。
一方、同大学院の石田啓祐教授(地質学)によると、三角貝は勝浦川流域(勝浦町、上勝町)が国内有数の産出地で、1億1千万~1億3千万年前の白亜紀前期の代表的な化石。教科書にも掲載され、県内では標本を展示している学校もある。
このほか他県で「県の石」に選定されたのは、山口県が秋吉台の石灰岩(岩石)、新潟県が佐渡金山遺跡の金(鉱物)、長野県が野尻湖のナウマンゾウ(化石)など。学会は「地域のPRにも役立ててほしい」としている。
徳島の石は県立博物館で常設展示されている。