人間は何のために生きているのかな。おいの満男の問い掛けに、おじの寅さんがこう答える。<何て言うかな、ほら、あー生まれて来てよかったなって思うことが何べんかあるだろう、そのために人間生きてんじゃねえのか>

 映画「男はつらいよ」39作の一シーンだ。寅さんの語りに、人生のつじつじで慰められたのは満男ばかりではないだろう。恋に破れ、仕事に悩んだ時、運を天に任せたくなるような時・・・。じわっと効いてくる

 そんな寅さんが帰ってくる。新作は、満男の成長が中心になるという。彼はどんな思いを抱えて生きているのか。何より幸せか

 今回のテーマは「今僕たちは幸せだろうか、あるいは君たちはどう生きるか」。公開は、第1作から数えて50周年に当たる来年。シリーズ50作目となる

 かつて山田洋次監督からうかがった話に重なる。「僕たちは本当に幸せなのか。今ほど検証しなければならない時代はないんじゃないか」。右肩上がりでないとだめだを考え直さなければ、と

 人は幸せになるために生まれてきた。どこかで聞いた言葉が浮かぶ。<むずかしいことは、よく分かんないけれどもね、あんた幸せになってくれればいいと思っているよ>。寅さんのせりふは人に寄り添う。幸せを分かち合える世の中にと願い続け半世紀。寅さんはやはり国民的映画だ。