米国や中国ばかりでなく、世界経済にもマイナスであることは明らかである。そんな「貿易戦争」をいつまで続けるつもりか。

 トランプ米大統領が、年2千億ドル(約22兆円)相当の中国からの輸入品に追加関税を課す制裁第3弾を24日に発動すると発表した。

 追加関税の対象は5745品目で、税率は当初10%とするが、来年は25%に引き上げる。第3弾まで合わせると対象額は2500億ドルに上り、中国からのモノの輸入額のほぼ半分にもなる。

 制裁を課せば、当然、中国は報復措置に出てこよう。中国政府は、600億ドル相当の米国からの輸入品に対し、24日から5%か10%の追加関税を課す構えだ。

 泥沼化の様相だが、事態が長期化すれば、2国間だけでなく、世界にどんな「痛み」をもたらすことになるのか、しっかりと考えなければならない。米中は早急に対話に入ってもらいたい。

 対中制裁は関税の上乗せから米国内の物価上昇を招く。国内総生産(GDP)の約7割を占める個人消費が冷え込みかねない。

 米経済界も警告したが、トランプ氏は中国に対する巨額の貿易赤字について「これ以上、出し続けるわけにはいかない」との姿勢だ。

 そこには、11月の中間選挙で対中制裁をアピールしたいとの思惑がにじむ。7月から2回発動した制裁が、思うような成果を出せていない事情もある。

 ロシア疑惑などでも強い批判を浴びており、そうした事態を打開したいとの思いもあるのだろう。しかし、世界経済への影響を顧みないトランプ氏の保護主義的な政策は到底容認できない。

 憂慮されるのは、中国が報復関税を課した場合、トランプ氏が第4弾として新たに残る全ての輸入品に追加関税を課すことを検討する方針を示していることだ。そうなれば取り返しのつかないことになりかねない。

 日本にとっても予断は許さない情勢である。第4弾に至れば、日本企業への打撃が計り知れないからだ。

 中国に進出する日系企業は昨年10月時点で3万2千社を超えるとされる。このまま貿易戦争が続き、減速傾向にある中国経済の停滞を招くようなことになれば、日本経済への悪影響は必至だ。世界経済にも響くだろう。

 トランプ氏の強硬策は、巨額赤字を抱える日本にも向けられる恐れがある。米国との閣僚級貿易協議も開催される見通しだ。日本は立場を十分に訴えることが大切であり、何より米政権に自制を促していく責務もある。

 日米と欧州連合(EU)は近く貿易担当相会合を開き、世界貿易機関(WTO)の改革方針について共同提案する考えだという。WTOの機能を強化するとともに、米中の貿易戦争に終止符を打つための知恵も試されよう。