風疹の患者が首都圏を中心に増えている。妊婦が感染すると、胎児にうつり、赤ちゃんの健康に重大な影響を及ぼす恐れがある。

 子どもを産む女性だけの問題ではない。今回の流行で目立つのは30~50代の男性だ。家庭や職場で、妊娠を希望する女性にうつさないよう、成人男性も自身の免疫の状況を知り、ワクチン接種に努めてもらいたい。

 国立感染症研究所によると、今年の風疹の患者数は9月9日までに496人となり、既に昨年1年間の5倍を超えた。東京都や千葉県などの首都圏と、愛知県での感染が多い。徳島県内でも9月初めに2015年以来3年ぶりとなる患者が発生した。感染の拡大を食い止めなければならない。

 風疹は、くしゃみやせきで飛び散った唾などによってうつる。2~3週間の潜伏期間の後、発疹や発熱、関節痛などの症状が出る。

 深刻なのは、妊婦が妊娠初期に感染すると、赤ちゃんが難聴や白内障、心臓病にかかる「先天性風疹症候群」の恐れが高くなることだ。妊婦や赤ちゃんを守るために、一人一人が予防の自覚を持つことが重要になってくる。

 13年にも国内で感染者が1万4千人を超える大流行が起きた。その影響で、12~14年に45人の先天性風疹症候群の患者が報告されている。

 この時も、成人男性が患者の中心だった。国の制度変更で、定期接種の対象から外れるなどして、免疫が十分でない世代がある。13年の国の調査では、男性のうち、30代の15・8%、40代の16・3%が風疹ウイルスの抗体を持っていなかった。

 1990年4月2日以降生まれの人は2回、ワクチン接種の機会があったが、それより年齢が上の人は受けていても1回、79年4月1日以前に生まれた男性は1回も接種の機会を持っていない。1回だけの接種では免疫が弱まっている可能性もあるという。

 採血による抗体検査で抗体の量を確かめ、不十分であればワクチン接種を急ぎたい。ただ、妊娠の可能性のある人は胎児への影響の恐れがあるため、接種はできない。外出や人混みを避けるなどの注意が必要だ。

 厚生労働省は、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年度までに、風疹を排除することを目標にした予防指針を策定している。しかし、このまま感染が広がれば、根絶どころか、五輪の運営にも支障を来すだろう。

 先の大流行を受け、県は14年度末まで実施していた無料の抗体検査を休止している。全ての市町村が、妊娠を希望する女性らに対し行っていたワクチン接種の助成も、9市町村にとどまる。

 抗体検査とワクチン接種の徹底は、風疹の根絶と予防への鍵となる。行政が費用支援などの対策を急ぐとともに、職場や地域でも意識を高めていくことが大切だ。