伏見教授らが開発した暗黒物質の新検出器(円柱部分)。上に付いているのは光センサー

 徳島大大学院理工学研究部の伏見賢一教授(宇宙物理学)の研究グループが、宇宙に大量にある正体不明の「暗黒物質」(ダークマター)の有力候補とされる素粒子ニュートラリーノを捉える新しい検出器を開発し、秋までに実証実験を始める。これまでの検出器を大幅に上回る世界最高水準の感度が発揮されると見込まれ、世界中の研究者が躍起になっている暗黒物質の発見に一歩踏み出す。

 伏見教授によると、宇宙の中で恒星などの目に見える部分は全体の4%程度にすぎず、残り90%以上は、目に見えない暗黒物質と暗黒エネルギーで満たされているとされる。宇宙の発生や進化を考える上で重要な暗黒物質の謎を解明しようと、世界中の研究グループがしのぎを削っている。

 新しい検出器は、検出に用いるヨウ化ナトリウムの結晶を円柱型(直径10センチ、高さ8センチ、重さ2・3キロ)に成形し、不純物を通常の結晶の約100万分の1に抑えるレベルまで純度を高めた。ニュートラリーノがヨウ化ナトリウムにぶつかると青い光を発する性質があり、光センサーで観測する。2012年から研究し始め、16年2月に完成した。

 従来の検出器では、暗黒物質ではない放射線などを多く検出することが悩みだった。ヨウ化ナトリウムの結晶の純度が高ければ高いほど暗黒物質以外を検出することが少なくなるため、伏見教授らは純度を高める方法について研究を続け、世界最高純度の結晶を作ることに成功した。

 夏から秋ごろに岐阜県飛騨市神岡町にある地下実験室で新検出器の実証実験を行う予定。性能が確認できれば一回り大きい検出器(直径13センチ、高さ13センチ、重さ6キロ)を作り、検出作業を行う。将来的には6キロの検出器40個を設置して実験することを目標にしている。

 伏見教授は「世界中の研究グループが猛追してきているので、油断はできない。さらに検出器の感度を高め、暗黒物質に近づきたい」と意気込んでいる。