経済記事で時折「置き換え需要」という用語を見掛ける。主に新商品が出た時に、古い物から買い換える動きのこと。単純な動きと侮ってはいけない。物によっては、ずぬけたスケールに発展する
LED照明が最たる例だ。阿南市の日亜化学工業が青色LEDの発明で世界を驚かせ、白色LEDの開発に成功したのが1996年。以来、蛍光灯や白熱球に取って代わってきた
LED照明の市場規模は拡大を続け、2020年には世界で6・4兆円に膨らむという予測もある。どの家庭にもある至極身近な物だから、桁が違う
北島町の四国化工機が手掛ける事案も、期待値は大きそうだ。口栓付きの紙容器に飲料を充填する新システムを、日本製紙と開発した。果肉などの長繊維入りジュースや、流行のタピオカなど固形物が入った飲料を詰める独自技術が武器。置き換えの照準はペットボトル(PB)だという
PBから紙へ、って時代に逆行では? 違った。開発者は、微細なマイクロプラスチックが生態系に深刻な影響を及ぼしている問題に着目。脱プラスチックの流れで、紙が見直されると捉えた
「今はプラスチックストローが脱プラの中心だが、いずれPBも」と化工機の担当者。身近さならPBは照明に匹敵する。この国、あの国で消費者の反応は、さて。来年度から動き出す。