勝負は最後まで分からない。野球の四国アイランドリーグplusで後期の首位を独走していた徳島インディゴソックスは、最終戦で2位に陥落し、優勝を逃した。

 3期ぶりの朗報を待っていた徳島のファンにとっては残念な結果となった。

 ただ、今年の徳島は大いにリーグを盛り上げた。昨年の独立リーグ日本一から一転、前期は36試合で9勝しかできず最下位。そこから後期の優勝争いを演じた選手の奮闘をたたえたい。

 後期の徳島は序盤で8連勝し、首位を走った。突出した選手はいないものの、投打がうまくかみ合った。

 後期のチーム打率は2割6分7厘、総得点は137点でいずれも1位だった。走者が塁に出ると積極的に次の塁を目指し、しぶとくつないで得点した。盗塁は、2位の20を大きく上回る55。岸潤一郎選手は前後期38盗塁で盗塁王のタイトルを獲得した。

 先発投手陣は竹内裕太、鎌田光津希の両右腕を軸に安定していた。完投こそ2試合と少ないものの、六回前後まで最少失点でしのぎ、リリーフ投手で逃げ切るパターンが徐々にできていった。

 一人一人が与えられた役目を果たし、全員で勝利をもぎ取る。派手さはないが、手堅い野球が光った。

 そんなチームに仕上げたのは就任1年目の石井貴監督だ。現役時代はプロ野球の西武で68勝を挙げた。気持ちを前面に力投する姿を覚えている人も多いだろう。

 監督として初采配を振るった前期は9勝23敗4分けと大きく負け越した。試合後は怒りに震えているのかと想像したが、発する言葉は違った。冷静に敗因を分析し、選手の良かった点を挙げ続けた。

 「ミスを責めても結果は良くならない」。現役を引退後、コーチなどの指導者を経験して得た持論だという。

 もちろん、褒めるだけではない。プロの厳しさ、強い気持ちの大切さを伝え、前期終了後は徹底的に走り込みをさせて基礎体力の強化を求めた。後期の躍進は、独立リーグに求められる選手育成の成果を表している。

 徳島出身のルーキー新田大輔(徳島北高出)、河野成季(鳴門渦潮高出)の両投手も成長を感じたのではないだろうか。2人とも打ち込まれる場面が多々あったが、次第に良くなっていった。新田投手は16日のホーム最終戦で先発し、六回まで1安打の好投を見せた。

 残念なのは観客の少なさだ。ホーム最終戦は800人余り、巨人3軍との交流戦には千人を超える人が駆け付けたが、少ない試合では100人台と低迷した。球団はさまざまなキャンペーンを展開してチームや選手をPRしているが、効果は限定的だ。

 育成で成果を出した今季の戦いが、ファンに新たな楽しみを提供したのは間違いない。その自信を胸に来季、再び日本一を目指してほしい。