イタリア北部のベネチアで2年に1度開かれるベネチア・ビエンナーレ国際建築展の授賞式が28日行われ、神山町で進む空き家再生の取り組みなどを紹介した日本館が、国別参加部門で第2席となる特別表彰を受けた。表彰理由は「コンパクトで美しい共同生活の在り方を、現代的な展示で見せた」とされた。金獅子賞(最優秀賞)はスペイン館が受賞した。
日本館は「en(縁)・アート・オブ・ネクサス」をテーマに、神山町の古民家をサテライトオフィス(SO)に改修してきた建築家グループ「バス・アーキテクツ」など13組が出展。「新しい家族のかたち」「創造的過疎」などをキーワードにした実践例を紹介し、現代の日本社会に生まれつつある新たな共同体の姿を浮かび上がらせた。
「バス-」は、東京で建築家として活動する坂東幸輔さん(36)=徳島市出身=と須磨一清さん(39)、伊藤暁さん(40)の3人で構成。同町で手掛けたSO「えんがわオフィス」や宿泊施設「WEEK神山」などの映像を壁に投影する展示で、新たな地方の姿を紹介した。
坂東さんは「徳島発の価値観を世界に認められたようでうれしい。今後も日本や世界の社会問題に建築デザインの力で果敢に挑戦したい」とコメントした。
スペイン館は「未完成」をテーマに、政治や経済の影響で未完のままとなった建築群を写真で展示した。
日本館は過去に2度、金獅子賞を受賞しているが、特別表彰を受けるのは初めて。