6月19日施行の改正公選法で投票日に商業施設や駅などに設置が可能になった「共通投票所」について、徳島県内全ての市町村が夏の参院選で設置を予定していないことが徳島新聞社の調べで分かった。1人が2票を投じる「二重投票」を防ぐシステムの整備に費用や時間がかかることが主な理由。有権者からは「期日前投票を充実した方がいいのでは」との声も出ている。

 これまで投票日は各自治体の選管が地域ごとに指定する1カ所でしか投票できなかった。改正公選法では、民間施設などに自治体が共通投票所を置いた場合、その自治体の有権者なら誰でも投票ができるようになる。

 ただ共通投票所を置くと、二重投票を防ぐ環境を整えなければならない。同じ自治体の全投票所とインターネット回線で結び、有権者が投票済みかどうかの情報を共有する必要がある。セキュリティー対策も欠かせない。

 各自治体の選管担当者は「整備費用や準備期間、立会人の確保を考えるとハードルが高すぎる」。山間部の自治体では「有権者が多く集まる大型商業施設がない。公民館や役場で十分」との意見が多い。

 小松島市選管によると、市内の大型量販店には1キロ圏内に既存の投票所が3カ所あり、担当者は「共通投票所を設置しても、実際に何割の市民が利用するのか想定できない。今後の検討課題だが、まずはきちんとした事前調査が必要」と言う。

 徳島市の自営業女性(37)は「多少のメリットはあるが、そのために多額の税金が使われるのは疑問」。共通投票所が投票日に限定されていることに触れ「どちらかと言えば、期日前投票をもっと充実したほうがいいのでは」と要望する。

 総務省の調査によると、全国の市区町村のうち、参院選で共通投票所の設置を「準備中」または「検討中」と答えたのは4市町にとどまっている。