小便がV字に分かれる
【質問】50代男性です。最近、排尿時に尿がV字のように分かれて便器からそれてしまうことがあります。外尿道口にかゆみを伴った痛みを感じることもあり心配です。どのような病気が考えられますか。また、どう対処したらいいでしょうか。
小松歩院長
小松泌尿器科(藍住町東中富)
早期に泌尿器科で受診を
【答え】急性の症状なら急性尿道炎が疑われますが、質問の内容から症状がある程度の期間、続いているとしてお話しします。
尿線が分かれるのは、尿道のどこかに、尿が真っすぐに流れるのを妨げるトラブルがあり、外尿道口の痛み(かゆみは軽い痛みと考えます)は、尿道に炎症があるためと考えます。
自分で見て分かるのは、包皮と外尿道口のトラブルです。
包皮がかぶっている真性包茎や仮性包茎の場合、年齢とともに、包皮の先が固く狭まってしまうことがあります。この場合、細菌に感染しやすいため、包皮炎(包皮が赤くはれ、膿が出ることもある)を繰り返し、針の穴のように極度に狭くなることもあります。
糖尿病があると、難治性の包皮炎を繰り返すこともあるので要注意です。
外尿道口が狭くなる外尿道口狭窄も、見て分かります。包皮や外尿道口のトラブルは、手術が必要なこともあるので泌尿器科を受診してください。
次に、表面から観察できない尿道内のトラブルを考えてみます。質問者の場合、痛みが外尿道口部付近にあるので、出口付近の尿道に何らかのトラブルが生じている可能性があります。
手術や病気などで尿道カテーテル(おしっこを取る管)を入れた経験や、尿道炎に何度もかかったことがある場合、尿道狭窄の可能性があります。これは、炎症や傷の修復に伴い尿道の内腔が狭くなる病気です。治療には手術が必要です。また、尿道狭窄は良性疾患ですが、たびたび再発することがあり、やっかいです。
極めてまれですが、腎臓でできた結石が、痛みなく尿道まで下降し、尿道の出口付近で詰まることもあります。
尿道に腫瘍ができることもあります。腫瘍が尿の流れを遮ることで尿線が割れ、合併する細菌感染で痛みやかゆみが生じます。良性のポリープから悪性の尿道がんまでありますが、いずれもまれな病気です。
尿道の病気の診断には、薬を外尿道口から流し込んでエックス線撮影する造影検査や、尿道ファイバースコープを使って観察します。治療には手術が必要になります。
尿道を中心にお話ししましたが、尿線が割れ、痛みが生じる原因は、尿道の奥の前立腺や膀胱にあることもあります。なるべく早く泌尿器科の専門医に診てもらってください。