鳴門市大麻町の市ドイツ館前に立つ胸像と対を成すように、故郷の福島県会津若松市にも記念碑が建立された

 鳴門市にあった板東俘虜収容所で所長を務めた松江豊寿を顕彰する碑だ。第1次世界大戦中、ドイツ兵捕虜を人道的に処遇したことで知られる。その捕虜によってベートーベンの「第九」が演奏された

 除幕式は、折しも会津藩が降伏し福島県内の戊辰戦争が事実上終結してから150年に当たった。式を待っていたかのように降り続いた雨がやんだ。幼稚園児による白虎隊剣舞に拍手が起きた。「義に死すとも不義に生きず」という矜持が受け継がれた会津らしさを見る思いもした

 碑は松江の人類愛を象徴する地球をモチーフにした球形で高さ2メートル。碑文には寛容さと博愛、仁慈の精神を忘れなかった松江の姿がにじむ

 「第九」アジア初演から100年がたった鳴門市もそうだが、戊辰戦争から150年を迎えた会津若松市も新たな一歩を踏み出した。大切なのは未来に何を刻むかだ

 碑は、市民ホール「會津風雅堂」前から鳴門に向かって立つ。その風雅堂できのう、「会津第九演奏会」が開かれて、鳴門「第九」を歌う会のメンバーも歌った。松江の縁で両市が親善交流都市になり来年20周年になる。一対になって歌い継いでいく。平和の道から決してそれることがないよう。