出版した著書を手にする崔さん=小松島市立江町の19番札所・立江寺

 外国人女性として初めて、四国八十八ケ所霊場会の「公認先達」になった韓国人崔象喜さん(42)=ソウル在住=の体験記「韓国女子 涙と絆の四国八十八ケ所参り」(四六判、304ページ)が出版された。「中傷やバッシングなど、つらいこともあったけれど、だからこそ私は強くなれた」と話し、四国路で出会った善男善女たちへの感謝をつづっている。
 
 崔さんが四国遍路を始めたのは2010年。亡き父親の供養のため、1人で歩き遍路に出た。国籍や性別に関係なく出迎えてくれるお接待の精神に魅了され、その後、何度も四国を訪問。13年には、遍路の魅力を伝える「公認先達」になった。

 「韓国女子-」には暴風雨の中で札所を回るなどの数々のアクシデントを振り返り、大変な時に温かく迎えてくれた人への感謝の気持ちがしたためられている。

 そんな崔さんがバッシングの嵐に見舞われたのは14年のこと。外国人遍路が道に迷わないようにと、電柱などにハングルの道案内ステッカーを貼ったところ、ステッカーを剥がされたり、中傷する紙が貼られたりした。インターネットでも差別的な書き込みをされ、つらい思いをした。

 それでも「お接待の感動を忘れられないし、日本が好きという思いは変わらなかった」と話す崔さん。現在は一年の半分を日本で過ごし、来年には8回目の遍路を行う予定だ。

 「韓国女子-」は友人の牧山公美さんが翻訳し、アートヴィレッジ社(神戸市)から刊行。1500円。徳島県勝浦町坂本の宿泊施設「ふれあいの里さかもと」やネット通販のアマゾンなどで購入できる。問い合わせはアートヴィレッジ社<電078(806)7230>。