徳島市の新町西地区再開発事業の白紙撤回を主張する遠藤彰良市長と、事業主体の再開発組合(森竹義浩理事長)との4回目の協議が2日、同市西新町1の組合事務所であった。市長は「現計画をいったん取りやめて、新たな案を皆さんと考えていきたい」と述べ、地区の活性化策を地権者と共に探る考えを示した。

 組合側は仕事で欠席した森竹理事長らを除く理事8人、市側は市長ら5人が出席した。

 市長は冒頭、事業から撤退する意思を改めて示した。その上で、事業中止後の新町西地区の振興策について「民意を得ながら早急に検討したい。皆さんにも協力いただきたい」と述べた。

 これに対し、組合側は「事業は市と共に何の法的瑕疵もなく進めてきた。今更やめると言われても困る」などとし、事業中止に反発した。

 市長は、権利変換計画に同意するとして前市長時代の昨年10月に押された市長印の有効性を認めながらも「(手続きが有効だからといって)市が事業を継続しなければならないという法的根拠はない」と説明した。

 これに対し、組合側は「(事業を白紙撤回する上での)道義的責任をどう考えているのか」と追及。市長は「道義的な責任はあるかとは思うが、それで市が事業から手を引けないということではない」と述べ、議論は終始平行線をたどった。

 協議の後、市長は「私は事業から撤退するとしか言えず、話し合いで納得してもらえる問題ではないと感じた。(今後の対応は)少し考えたい」と述べた。組合側は「今回の協議内容を踏まえ、これからの対応を検討する」としている。