QRコードに変換した患者の医療情報を、医師らがスマートフォンやタブレット端末で読み取れるようにする実証実験を徳島保健所が始めている。コードを身に付けておけば、自身で情報を伝えられない難病患者であっても病状を把握できることから、災害時の活用が期待される。コード化することで個人情報の保護にもつながり、保健所では広く普及を図りたい考えだ。
QRコードはコード自体が文字情報を持つため、インターネットに接続できない環境でも携帯端末で情報を読み取ることができる。
実証実験でQRコード化したのは、難病患者2人の病名や人工呼吸器の設定情報、気管切開の有無、かかりつけ医などの情報。徳島保健所の職員が市販のパソコンソフトで入力し、コードを印刷したカードを患者2人にそれぞれ渡した。
患者はこのカードを人工呼吸器にひもで結びつけるなどし、避難時には一緒に持ち出す。病状が変化した場合には、必要に応じて新たな情報を盛り込んだカードを再発行することにしている。
実証実験に参加している筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の長尾義明さん(68)=板野町中久保=も人工呼吸器につり下げてカードを保管。妻の美津子さん(68)は「呼吸器と一緒なら忘れる心配がないので安心」と話している。
QRコードはインターネット上の無料サイトなどで簡単に作れるため、保健所では将来的にさまざまな病気の患者やその家族が利用し、持ち歩いてもらうことを期待している。
保健所の大木元繁所長は「普及が進めば災害時に医療情報を伝える手段の一つになる。医療情報には高度な個人情報も含まれるため、QRコードの利用を広げていきたい」としている。