映像劇「蒼海のホタル」で登場する特攻兵器「回天」の実物大のレプリカ

 太平洋戦争末期の特攻兵器「回天」をテーマにした映像劇を、鳴門市の鳴門第一中学校の教諭らが制作した。回天の搭乗員だった佐藤明芳さん(87)=徳島市富田橋8=の体験を基に当時を再現している。回天に関する映像資料は乏しく、特攻の悲惨さを知る貴重な作品となりそうだ。

 回天は魚雷を改造した1人乗りの潜水艇で1944(昭和19)年に配備が始まった。全長14・75メートルで先端部に約1・5トンの爆薬を搭載。搭乗員自らが操縦し、水面下から米軍の巡洋艦や駆逐艦に突撃する兵器で、飛行機による特攻に続いて実戦投入された。

 映像劇のタイトルは「蒼海のホタル」(43分)。鳴門第一中の反田卓教諭(53)が中心となって制作した。人権教育の一環として2011年から戦争を題材にした映像劇の制作に取り組んでいる反田教諭は昨夏、新聞報道で佐藤さんを知り協力を依頼。当時の状況を詳しく聞き取りして脚本を書いた。

 生徒会役員ら約30人が出演し、12月から撮影を始めた。特攻兵に志願した佐藤さんが仲間と共に回天の操縦訓練に励む様子、目の病気を患って搭乗員を辞退させられる場面などを演じている。

 劇中に登場する回天は、山口県内に残されているレプリカと反田教諭が作った精巧な模型で再現。背景は同県の回天基地跡などを訪れて撮影し、パソコンで生徒の演技と合成して仕上げた。

 反田教諭は「特攻の悲劇をより詳細に次世代へつなげることができるだろう」と期待を寄せる。同校は秋の同校文化祭で初上映した後、板野町の県立総合教育センターで作品を貸し出す予定。

 ナレーションを担当した佐藤さんは「当時の自分とほぼ同年齢の子どもたちが演じてくれたことは感慨深い。多くの人に見てもらいたい」と目を細めた。