若者に人気の5人組ポップロックバンド「wacci」が、11月7日に発売する3枚目のアルバム「群青リフレイン」や、同月から始まるグループ初の47都道府県ツアーをPRするため徳島新聞社を訪れた。メンバーが、アルバムに込めた思いやツアーに向けた意気込みを語ってくれた。
―バンド名の由来は。
橋口 「私たち」の最初と最後の言葉をつないで「わっち」(wacci)になりました。僕らの歌を聴いてくれている人に、「この歌は私のことを歌っている」と思ってもらい、「私の歌」から「私たちの歌」として、みんなのもとに広まってほしいという思いを込めました。
ちなみに、居酒屋で朝まで考えていたんですけど「wacci」と「しゃもじ」と「ファンタスティックファイブ」という候補が3つありまして。
村中 一応、訂正すると「ファンタスティックファイブ~銀河を救った男たち~」です。
橋口 その3択だと「wacci」だろうということで、バンド名が決まりました。
「ワッチ」という響きの良さもあって決めた部分もあるんですけど、私のことを「わっち」と言う地方もあるので、自分の歌として捉えてほしいとか、日常のテーマソングを歌っていきたいという僕らの思いともリンクしてるんですよね。
―どういった経緯で結成されたのか。
小野 メンバーがそれぞれ別のバンドで活動していたのですが、同じライブハウスに出演したことがあったり、共通の友人が多かったりした中で、たまたま同じ頃に解散や活動休止などが重なりまして。ちょうどその時に、僕と橋口が深夜の下北沢でやっているライブハウスでセッションをして、その感触が良かったので連絡先も交換して。
―意気投合したと。
小野 そうですね。
橋口 最初に5人で演奏した時に音の感触がすごく良かったんです。それで、このメンバーでやっていこうという気持ちですぐにバンドを組みました。メンバー全員がバンド活動を経験していたので、1から形にしていくためのノウハウみたいなものも何となくありました。なので、すぐに音源を作って、自分たちで企画を作って計画的に活動していました。その時に、今の事務所にCDを送ったら「一緒にやっていきましょう」ということを言っていただいたんです。僕もドラムの横山も会社員で、彼(村中)はラーメン屋の店長だったんですけど、みんなでもう一度音楽で頑張ってみようということで辞めて、音楽一本でここまでやってきました。
村中 僕自身もラーメン屋が嫌いな訳ではなかったんですよね。どっちか選ばなければいけない時期なのかなと。はじめてスタジオに入った時の感触とかもすごく良くて、最後のチャンスという訳ではないですけど、これが駄目だったら音楽を続けるのもしんどくなってくるなという感じでしたね。
―幅広いテイストの楽曲を制作している。
村中 橋口が作る曲や歌詞には日常感があって、それがメインテーマにもなりますが、ポップだけではなくてロックやメタルみたいなジャンルの曲もあります。歌を彩るための手法なので、「ポップバンド」と名乗っていますが、wacciとしては何でもできるぞみたいな。
橋口 正直、サウンド的には何でもできる5人だと思っています。ただ、その中で僕が主にメロディーを作って歌詞を書いている中で、それが良い形になるようにどういう風に表現するか。その段階になってロックやメタルみたいなものから、しっとりしたものまで自由に使い分けながらやっているので、ある意味ではジャンルレスですかね。世の中にあるくくりの中で、wacciをどこにカテゴライズするかとなったら「ポップロックバンド」になるのかな。だけど、今度のアルバムはジャンルレスになると思います。
―4カ月連続配信リリースを始めたきっかけは。
橋口 2枚目のアルバム「感情百景」を昨年リリースした時に、すごく良い作品だなという自信があったんですよね。ただ、アルバムを手にした人にしか、その名曲たちは届かないわけで。今の時代、いろんなところで音楽を聴くことができるので、今度発売する3枚目のアルバム「群青リフレイン」では、アルバムに入る曲を配信という形や曲のミュージックビデオ(MV)を動画サイトで紹介してから、アルバムを出したいなと。そうすれば、1曲1曲により注目してくれる。アルバムのためというところが大きいですね。
―それぞれの楽曲はとういったコンセプトになっているのか。
橋口 7月にリリースされた「空に笑えば」は、夏という時期もありスポーツを頑張る人たちや夏季講習などで受験に向けて頑張る中高生たちにも響けばいいなと思って書いた曲。8月の「別の人の彼女になったよ」はガラリと変わり、大人の女性にも響くような恋に焦点を当てた曲です。第3弾に当たる「最上級」は今までのwacciのような優しさや温かさといったイメージとは違い、理性を追い越してしまうような衝動的な恋する気持ち、想いを必死に届けようとする力強さを歌っています。
村中 確かにここまで衝動的な歌はなかったね。
橋口 一番ストレートな歌になっています。
―サウンド面でのこだわりは。
橋口 今回は1曲1曲をバンドメンバーがアレンジャーとなって「この曲は僕がやる」という感じでやっているんですけど、今回の「最上級」は因幡がアレンジャーになってて。
―因幡さんはキーボードだが、楽器を生かしたアレンジなどは。
因幡 それが、キーボードはほぼ目立っていないんですよ。基本は橋口が弾き語りで歌って作ってきて、そこにイメージがあるものは音を足してきたりしてっていうのもあるんですけど、この曲では歌とアコースティックギターとバスドラムだけ。それを聞いたときに、昔のカントリーとかのサウンド感を思い描いたので、乾いたアコースティックギターの音をメインに作っていこうと。そこで、自分の楽器は一度置いといて、そのイメージを橋口に伝えたところ、近からず遠からずの雰囲気だったので、「任せてくれ」と言ってアレンジをしました。
―配信リリースの4曲はバンドメンバーがアレンジしたのか。
因幡 そうですね。というより、アルバムの曲すべてがそういう作り方になっていますね。
―3枚目のアルバムの発売日はメジャーデビューの日である11月7日だ。
橋口 あまり日にちにこだわるタイプではないんですけど、11月から初めての47都道府県ツアーが始まるということで、「11月あたりにアルバムを出せたらいいね」っていう話はしていて。「だったら、みんなで喜んで楽しめるように7日にリリースしようか。水曜だし」という感じでしたね。
―前作から1年近くたつが、どれくらいの制作期間をかけたのか。
橋口 制作期間ってどこをいうのかな、おれはずっと書いてましたけどね(笑)ただ、9月のマスタリングを終わりとすると。
横山 ツアーファイナル前の7月の始めには曲が出来上がっていて、そこからアレンジをしてアルバムの曲を作っていった。
村中 アレンジが制作スタートってことなら、7月末くらいから9月末くらいが制作期間になりますね。
―「群青リフレイン」のコンセプトは。
橋口 僕らの中でコンセプトっていうのは、出来上がったものをみて「こういうアルバムになったね」っていうことが言えるんですが、今回は今までのwacciらしくない新しいアルバムになったというところですね。
村中 良い意味でね。個人的な話ですけど、作り方が変わったなと思っていて。1枚目のアルバムの時は、シングルをたくさん出させてもらってからのアルバムだったので、シングルを発表している中で、世間がイメージしているwacciがきっとあるなと思っていて。そこを大きく逸脱しないようなアレンジにしようかなと、その時は思っていました。ただ、今回のアルバムに関しては、そのイメージみたいなのを取っ払ってみてもいいのかなと思っていて、アレンジの面でもこんなことやったら面白いかもとか、wacciらしくないよねみたいなことを、あえて言われるようなアレンジに挑戦しました。
横山 今年の4月に配信リリースした「wallflower」も村中がアレンジを担当したんですけど、それも彼のなかでは攻めたアレンジをしようみたいな部分があったと思います。ただ、やっぱり橋口の歌だったり、演奏するのが我々だったりというのもあって、いつもと変わらないなと。だったら、今回のアルバムのアレンジでは、もっとやっちゃってもいいのかも知れないなという流れがありましたね。どんどんやっちゃった方が、ていうかそれくらいやらないと、はみ出ている感じが伝わらないんだろうなと。
橋口 実際に、テーマ的にも第2弾の「別の人の彼女になったよ」と第3弾の「最上級」が今までのwacciにない曲と言われ始めているので。アルバムにも今までにない切り口の歌があったりすると思いますし。サウンドもテーマも新しいことに挑戦した、これまでの僕らを好きな人にも気に入ってもらえて、さらに僕らに新たな出会いもくれる、今のwacciの名刺代わりになる作品に仕上がっています。
―6月には徳島で初のワンマンライブを行った。
橋口 初ワンマンの場合、初めて行く場所なので不安な時もあったりするんですけど、徳島ではたくさんのお客さんが来てくれて。しかも、すごく温かく迎えてくださって。
―10月28日には健祥会学園の学園祭に出演する。普通のライブと学園祭の違いは。
橋口 動画アプリや会員制交流サイト(SNS)がきっかけで10代の人たちにすごく知られている曲がいくつもあるので、そういう曲をしっかり聴いてほしいですね。そして、そういった曲から、自分たちの新しい曲とかも聴いてくれたらうれしいです。そういう意味では改めて「はじめまして」とあいさつもできてwacciの良さも伝えられる、そんなライブが学園祭ではできますね。
村中 学園祭に関しては本当そうだよね。今だからできるwacciのライブができて、自分たちの音楽を伝えやすくなっていますね。
―11月からは初の47都道府県ワンマンライブツアー「47都道府県ツアー ~群青リフレイン~」が始まる。
橋口 「この歌は私のことを歌っている」という風に思ってほしいと言っている以上、自分たちの足で歌を届けにいくことが大事だと思っています。それに47都道府県ツアーってどのアーティストも簡単にできることではないと思うので、今回僕たちがそれをできるということにもすごく感謝して、今回の徳島公演でも1人でも多くの人にwacciを好きになってもらえるように精いっぱい歌いたいです。
―エフエム徳島でレギュラー番組「wacciの阿波っちアワー」を担当している。
橋口 因幡さんが、徳島出身で徳島に詳しい「アワミミスト」の因齋肇というキャラでしゃべっていますね。因齋肇が徳島の良さについて語るコーナーもあるんですけど、他の県のラジオ番組にはなくて、徳島ならではのコーナーですね。初めてキャラも設定しましたし難しかったですね。いつかすだちくんくらい有名になればいいですね。
―徳島のイメージは。
村中 徳島に来る前までは、渦潮やスダチ、阿波踊りといった有名なもののイメージしかなかったんですけど、来てからは大好きなラーメン屋さんに出会ってしまって、徳島のイメージがそのラーメン屋一色になりましたね。
横山 ライブの話ですけど、今日はやけに盛り上がるな、結構攻めてくるなというのが徳島の初ワンマンでして、かなり盛り上がったという印象が強いです。阿波踊りの影響なのかな、盛り上がるときにはめちゃめちゃ盛り上がる県民性があるのかな。
小野 すごく親切な方が多いかなと。お店の方とかもお薦めを詳しく教えてくれたり。
因幡 阿波おどりというのを知ってはいたんですが、実際に徳島でも活動するようになったことで、何気なく阿波踊りを動画で見たんですけど、イメージを覆されるくらいすごかったですね。気持ちを持って行かれました。楽しいんですが、おぉぉ!みたいな感動がありました。まだ見たことないので、見てみたいですね。
橋口 僕はみんなが言ったようなこと全部と、すだちくんのユルさがたまらないですね。ユルさの自由さとか、そういうところが好きですね。
―徳島のファンにメッセージを。
横山 さっき言ったように、ライブですごい勢いのある印象が強いので、それを楽しみに頑張って徳島でも楽しいライブを作りたいと思いますので、ぜひ待っていてください。
村中 訪れるたびに好きな要素がどんどん増えていくすてきな場所だと思っています。僕らも年に2、3回しかライブに来られるチャンスはないと思うんですけど、その機会を逃さずにお互い、相思相愛になりましょう。
橋口 日本全国の中で1番、人と人との縁で成り立っている県なんじゃないかと思っています。僕らが、ライブやイベントで徳島に訪れる機会が増えたのも、縁があってこそでした。そういう風に縁があるということは、きっと僕らの音楽を通じて出会ってくれるたくさんの人がまだまだこの県にいるんじゃないかなと。そういう可能性がある人がたくさんいるんじゃないかなと思っています。「最上級」の中に「こっち向いてよ」という歌詞があるんですが、会場を訪れてくれた皆さん全員にこっちを向いてもらえるような良いライブにしたいと思います。ぜひ遊びに来てください。
因幡 6月の徳島初ワンマンで始めてwacciのライブを見た人って多いと思うんですよ。メンバーとスタッフと全員でいいものをずっと作り続けているので、そこで2回、3回とライブに訪れたときに、お客さんの想像を越えていけるようなライブを見せられると思うので、そういう意味では何回も来ていただくことで進化したwacciになる自信があります。ライブに来るたびに、もっと楽しいライブになるし、音楽ももっといいものを出していくので、これからもずっとチェックしていただけばと思います。
小野 47都道府県ツアーに初めて挑戦するんですが、これまで通り1本1本がその日できるベストを尽くすっていうライブということには変わりが無くて。その日にしかできないライブを全力で届けるというのを47回やることだと思っています。今回は「群青リフレイン」というアルバムタイトルをツアーのタイトルにも使っているのですが、必ずしも最新のアルバムから全曲を演奏するなど、そういう縛りがあるわけではないので、いま僕らが徳島に来て皆さんの前でやるに当たって一番良いと思う選曲をして持って来るので、過去に見たことがあるとかないとか関係なく、ぜひ楽しんでもらえるようにベストを尽くすので、ぜひ来てほしいですね。
3rd Album「群青リフレイン」、11/7(水)リリース
・47都道府県ツアーを開催
徳島県では、2019年1月19日(土)にGRINDHOUSE
にて。 徳島以外の四国3県でも順次開催します!
お楽しみに!(wacciより)
http://wacci.jp