出動要請を受け、ドクターカーに乗り込む看護師ら=小松島市小松島町の徳島赤十字病院

 医師が重症患者のもとに直行し、初期治療に当たる「ドクターカー」を、徳島赤十字病院(小松島市)が県内で初めて導入して1年が過ぎた。阿南、小松島、徳島の各市を中心に、年間の出動件数は239件と想定の200件を上回った。同病院は近く車を2台に増やして体制の充実を図る。

 ドクターカーは県内全域を対象に、ドクターヘリが着陸できない市街地やヘリが飛べない悪天候時などに、消防や医療機関の要請を受けて出動する。2015年4月に運用を始め、高度救命救急センター救急部の救急専門医2人が、平日の午前9時から午後5時に任務に当たった。

 同部によると、月別の出動件数は気温の低下する冬場以降に増加し、12月は23件、16年1月は24件、2月は26件。3月が42件と最も多かった。

 要請は阿南市消防本部が65件と最多。小松島市消防本部51件、徳島市消防局48件、佐那河内村と那賀町消防本部、海部消防組合が各5件と続いた。医療機関からも51件の要請があった。

 迅速な対応例が目立っているという。美波町の60代女性が自宅で脳梗塞を発症したケースでは、医師が特効薬の投与が可能かどうかを調べるために血液検査などを実施。搬送先の病院に容体を報告した上で磁気共鳴画像装置(MRI)検査の準備を要請し、素早い処置につなげた。

 一方で、複数の要請が重なったり、早朝や夕方など時間外だったりして対応できないケースがあった。このため、同病院は本年度、救急専門医を2人増員。6月には車を1台追加し、年間400件以上の要請に対応できるようにする。運用時間の拡大も検討する。

 救急部副部長の吉岡勇気医師(40)は「ドクターカーはよりよい救急医療を提供するための社会インフラとして必要だ。各地の救急隊員と連携を深め、より多くの患者を救いたい」と話している。