徳島新聞社などは本年度、事業プランコンテスト「とくしま創生アワード」に取り組む。12日から8月末までプランを募集し、11月に最終審査を行う。審査や助言に当たる「アドバイザリーボード」を務める徳島ゆかりの経営者らに、次世代のチャレンジャーへのメッセージを聞いた。

「自分がやる理由」を明確に語れる事業か。

 2013年、古里の旧木頭村(現那賀町)に木頭ゆずを加工して販売する会社「黄金の村」を設立した。

 自分の古里が廃れていっていることへの危機感、どうにか回復基調に持っていきたいという思いがあった。村の助役としてダムに頼らない地域づくりに取り組んでいた父が1996年、自ら命を絶ち、夢を諦めざるを得なかった。僕が父だったら、今の木頭でどうするだろうかという視点をそれ以来、持ち続けてきた。この使命感が「黄金の村」設立に至った。

 回復基調に持っていく一番のバロメーターが住民数だと思った。それを上げようとすると、まず働く場所が必要で、黄金の村とメディアドゥの木頭事業所の二つをつくった。次は住む場所。住環境を整えていくうえで、子どもの教育環境をつくらないといけない。これからは英語とプログラミングが重要性を増すだろう。この二つに特化した教育プログラムをつくろうかと考えている。

 思いを実現するためには、自分は何がやりたいのか、その理由は何か-というのを追求すべき。花が好きなら花の事業を考えるべきだし、プログラミングが好きならプログラミングの事業を考えるべきだし、政治が好きだったら政治家を目指すべきだ。

 スタートボタンを押したら走らないといけない。人生80年として3年間走ると、80分の3を消費する。この時間を大切に消費するためにも、自分がやる理由をしっかり考えることが重要だ。

 この点は僕もすごく苦労した。最初にやった携帯電話の販売事業は、藤田がやる理由はゼロだった。藤田でなくたって携帯ショップで買えばいい。でも、今のメディアドゥはメディアドゥでなきゃできない。藤田でなきゃできないことに20年かけてやっと到達した。

 挑戦する人にアドバイスするなら、なぜ、あなたがその事業をやるのかということを突き詰めること。それはゴールがもうかるとかじゃないと思っている。人が共感してくれるような、もしくは、自分の人生を賭してもいいような理由を見つけることだと思う。

 ふじた・やすし 1994年、大学3年在学中の20歳のときに起業。96年、有限会社フジテクノ設立。99年、株式会社メディアドゥ設立。2000年、モバイルインターネット事業に参入、06年、電子書籍事業開始。07年、出身地の那賀町に徳島木頭事務所を開設。13年、東証マザーズに上場、16年、東証1部へ市場変更。15年度の売り上げは112億円。13年には「黄金の村」を立ち上げ、ユズの栽培と加工、販売を手掛ける6次産業事業を行う。42歳。