そもそも違憲の疑いが拭えない。法運用は抑制的であるべきだ。既成事実の積み上げに走る安倍政権の姿勢には危惧を覚える。

 集団的自衛権の行使を柱とした安全保障関連法の成立から3年が過ぎた。

 国連平和維持活動(PKO)での「駆け付け警護」、平時から米軍の艦艇などを守る「武器等防護」と、自衛隊の任務は次々拡大している。米国を狙う北朝鮮の弾道ミサイルの迎撃を容認するなど、日米の一体化も進む。

 「平和安全法制を成立させて互いに助け合うことができる同盟になった。大変強固な絆となっている」。法整備によって日米同盟は深化したと安倍晋三首相は胸を張る。

 トランプ米政権と渡り合えているのは安保法の存在が大きい、と語る外務省幹部もいる。しかし半面、日本が不測の事態に巻き込まれかねないリスクが増大していることも忘れてはなるまい。

 「駆け付け警護」の新任務が与えられた陸自PKO派遣部隊の宿営地、南スーダンの首都ジュバでは、大規模戦闘が発生し治安が悪化。部隊は撤収に追い込まれた。

 新任務が実行されることはなかったが、戦闘の危険と隣り合わせの活動であったことは、疑いようもない。部隊日報の「組織的隠蔽」にも批判が集まった。

 それでも政府は、自衛隊任務のさらなる拡大を意図している。「積極的平和主義」の旗の下、目に見える「国際貢献」を何としても増やしたいのだろう。「派遣ありき」の姿勢が露骨だ。

 現在、安保法で可能となった「国際連携平和安全活動」を初めて適用し、エジプト・シナイ半島で停戦監視活動中の「多国籍軍・監視団」(MFO)への参加を検討している。MFOは米国が中心で、1979年のエジプト・イスラエル平和条約に基づき、他に英、仏、伊、豪など12カ国が軍人約1200人を派遣している。

 政府は年内にも現地へ調査団を送り、安全が確保できると判断すれば、年明け以降にゴーサインを出す予定だ。米国から参加の打診もあり、将来的には部隊の派遣も視野に入れている。

 国際連携平和安全活動は、PKOと活動内容は似ているものの、国連が統括しなくても国際機関などの要請に応じて自衛隊を派遣できる。現地の状況は比較的安定しているというが、国連が統括しない初のケースだけに、慎重に判断すべきだ。

 安保法は「密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされる明白な危険がある」などの3要件を満たせば、存立危機事態と認定し、集団的自衛権を行使できると定める。

 その前提に憲法上の疑義がある中、自衛隊の任務拡大や米軍との一体化が、果たして日本の平和に寄与していると言えるのか。もう一度立ち止まって考える必要があろう。