佐那河内村選挙管理委員会は、22日公示、7月10日投開票の参院選で、車などがなく投票所に移動するのが難しい高齢者らを対象に、自宅から投票所までの間をタクシーで無料送迎する。県内では、那賀町選管が一部地域でバスを走らせる支援を行うが、自治体の全てのエリアを対象にするのは同村だけ。

 支援の対象は、選挙人名簿に記載された人のうち免許を持たなかったり、車などの移動手段がなかったりして投票所へ行くのが困難な人。15日発行の村広報誌で周知し、希望者を受け付ける。村選管は、希望者が支援対象に当たるかどうかを判断し、村内のタクシー会社に送迎を委託する。実施期間は、期日前投票が始まる23日から投開票日まで。

 総務省は4月、投票環境の改善などを目的に、国会議員の選挙執行経費基準法を改正。市町村選管が有権者の移動を支援する場合、その費用を国が負担するとの規定を新たに設けた。

 村で路線バスが走るのは幹線道路のみ。昨秋の村長選で、バスの路線から離れた場所に住む高齢者から移動手段の確保を望む声が村選管に寄せられたこともあり、法改正に合わせ試験的に実施することにした。村選管は「参院選での利用状況などを見て、今後の選挙でも支援を続けるかどうか検討したい」としている。

 今回の参院選では、那賀町内の投票所の統廃合で深森地区の投票所が廃止されるのに伴い、町選管が午前と午後に1往復ずつ、最寄りの投票所の町上那賀支所までバスを用意することを決めている。

 他の22市町選管は「町域が狭く、投票所までそれほど離れていない」(北島町など)「いまのところ要望がない」(板野町など)「コミュニティーバスなどで移動手段は確保できているはずだ」(つるぎ町)として、移動支援は行わない。