阿南市新野町の住民が、平時はお遍路さん向けの民泊として運営し、災害時には市が避難所として活用する「シームレス(つなぎ目のない)民泊」の整備に取り組む。10日に市などと連携して推進協議会を設立した。年内の開業を目指しており、市によると民泊を避難所にするのは全国初という。
民泊は、自宅の空き部屋を利用して有料で宿泊場所や食事を提供する。計画では、平時は地元特産のタケノコなどを使った料理を出し地域の活性化を図る。津波などの災害時には、市が借り上げて市内の被災者が無料で利用できるようにする。
一般客の宿泊営業を行うには許可が必要だが、一般の民宿より開業しやすいよう、県に特区指定などでの規制緩和を求める。
同市新野町の新野公民館で10日夜開いた会議には、住民約30人と市や県の職員ら約20人が出席。推進協会長に青江徳訓さん(56)=同市新野町大歳、建設業=を選んだ。
今後、月1、2回程度会合を開いて、民泊を行う住民の人選を進める。開始時には5軒以上を確保したい考えだ。宿泊料や食事の提供方法も決め、開業後は推進協が宿泊の受け付けなどを行う。
シームレス民泊は市が発案した。四国霊場21番札所・太龍寺(同市加茂町)と22番・平等寺(同市新野町)の間には宿泊施設が少ないため、平時は遍路客の利用が見込める。また、同町は津波の被害を受けない内陸部にあり、2011年には東日本大震災の避難者を受け入れた経験があることから、住民に働き掛けた。
青江会長は「実現に向け、みんなで議論を進めたい」と話している。