梅を収穫する農家の人。例年は枝に鈴なりに実るが今年はまばらだ=神山町下分

 県産の梅が今シーズン、記録的な不作に見舞われている。開花期の低温や収穫前の強風が原因とみられ、JA全農とくしまによると、出荷量は例年の3分の1ほど。不作だった昨季をさらに下回る見込みで、後継者不足に疲弊する産地は頭を痛めている。

 県内最大の産地・神山町で50年近く、梅を栽培するJA名西郡梅振興部会の粟飯原充志会長(68)=同町下分=は「こんなに実が少ないのは初めて」と嘆く。今季の収穫量は鶯宿、南高梅など約500キロ。例年の2トン前後を大きく下回る。肥料代や消毒費用を差し引くと、利益はわずかしか残らない。まとまった量が採れず、出荷を見送る農家もいる。

 県内の梅の産地は神山のほか、吉野川、阿波両市などで、15日に作業を終える今季の出荷量は約86トンを見込む(7日時点、JA扱い)。開花期の長雨が影響して不作だった昨季の約130トンを大きく下回り、2年前の約280トンからは激減しそうだ。

 JAなどによると、花が咲いた2月中旬~3月上旬に低温が続き、蜜蜂による花粉交配が低調だったため、実の付きが悪かった。4月中旬と5月上旬には強風による落果も目立った。

 徳島に限らず、今季は全国的な不作で、市場価格は2年前の倍の1キロ300円近くに上る。しかし収量が少なすぎて、生産者の収益確保にはつながっていない。

 梅は戦後の一時期、「青いダイヤ」と呼ばれるほどの高値が付いた人気作物。その後、安価な中国産に押されたが、10年前でも県内で570トンを出荷し、約1億円の売り上げがあった。近年は家庭で梅を漬ける習慣が薄れたことによる需要減少が加速し、昨季は出荷不足もあって3千万円を切った。

 粟飯原会長は「価格が安いと生産意欲が下がり、老木の更新や肥培管理がおろそかになる。悪循環だ」と話している。