野菜が持つ本来の味を引き出すレシピを紹介する料理家として活躍している。自宅のある茨城県つくば市と東京・神楽坂で週に3、4回開く料理教室は、いつも予約でいっぱいだ。「『食べて健康になる』がキーワード。丁寧な下処理や少し手間を掛けることで、少ない調味料でも豊かな味わいになる」と語る。

 城北高校時代に自分の弁当を作ることで料理の楽しさに目覚めた。栗原はるみさんや有元葉子さんら、レシピだけでなくシンプルで豊かなライフスタイルを提案する料理家がテレビや雑誌で活躍し始め、憧れを抱くようになった。

 大学卒業後、大手料理教室に就職し、料理講師を務めるだけでなく店舗管理や商品開発などにも携わった。「食べることは体を整えること。それを学んでもらう料理教室を自分で開きたい」と2009年に独立。動物性タンパク質を取らない野菜中心の食事法「マクロビオティック」の考え方を伝えている。

 通うのは30代から60代の主婦が中心。一緒に料理して食べる約3時間を「居心地のいいものに」との思いから、料理教室の名前は「Cocochi(ここち)」と名付けた。自身も4歳の長男の子育て真っ最中で、受講生から学ぶことも多いという。

 昨年11月にはイタリアの平たいパン・フォカッチャの作り方を紹介した「はじめてのおいしいフォカッチャ」(主婦の友社)を出版。「簡単に親子で作れるので、ぜひ試してほしい」と笑顔を見せる。

 さまざまな食材を扱うだけに、徳島産の野菜や果物の質の高さを感じている。一方、関東での知名度の低さに歯がゆさもある。「スダチやなると金時と徳島が直結していない。もったいない」。これからは古里の味のPRにも一役買うつもりだ。

 かわい・みほ 徳島市出身。旧姓長尾。城北高、京都女子大短期大学部を経て、大手料理教室に10年間勤めた。2009年からつくば市と神楽坂で料理教室を主宰。米・ニューヨークのパン屋にフォカッチャのレシピを提供するなど、精力的に活動している。38歳。